実家に帰ったら、台所や玄関にゴミ袋がいくつも置かれていた。話を聞くと、ゴミを集積所まで持っていくのが大変になり、つい後回しにしているという。
高齢の親と離れて暮らしていると、こんな変化に気づくことがあります。
「次の帰省で自分が出せばいいか」と思っても、毎週のように通うのは難しいですよね。かといって、ゴミがたまれば臭いや虫も心配です。
ただ、親のゴミ出しが難しくなったからといって、家族がすべて引き受ける必要はありません。自治体による支援や、介護・生活支援の窓口で相談できる場合があります。
この記事では、親がゴミ出しをできなくなったときに確認したいことと、家族だけで抱え込まないための具体的な方法を紹介します。

親がゴミ出しをできなくなるのは、どんなとき?
ゴミ出しが難しくなる理由は、必ずしも体力の低下だけではありません。
たとえば、次のような変化が考えられます。
・ゴミ袋を持って歩くと、足元が不安定になる
・集積所までの距離が遠く、途中で疲れてしまう
・ゴミの分別や収集曜日が分からなくなってきた
・腰や膝が痛く、ゴミ袋を持ち上げられない
・朝早く起きてゴミを出すことが負担になっている
これまでは何でもなかった家事でも、年齢を重ねると負担になることがあります。
特に気をつけたいのは、ゴミ出しができなくなったことで、ほかの生活にも変化が出ていないかという点です。
冷蔵庫に食べ残しが増えている、洗濯物がたまっている、玄関から部屋まで物が置かれている。こうした変化も見られるなら、ゴミ出しだけの問題ではない可能性があります。
もちろん、ゴミがたまっているからといって、すぐに介護が必要だと決めつける必要はありません。まずは本人が何に困っているのかを確認しましょう。
最初に確認したいのは、ゴミ出しができない理由
親に話を聞くときは、「どうしてゴミを出さないの?」と責めるような聞き方は避けたいところです。
本人も、できなくなったことを気にしているかもしれません。
「ゴミ出し、最近大変になった?」「袋が重いなら、何か方法を考えようか」といった声のかけ方なら、話を聞きやすくなります。
確認したいのは、主に次の3点です。
ゴミを集積所まで運べないのか
ゴミをまとめることはできても、集積所まで運ぶのが難しいケースです。
この場合、玄関先からゴミを回収する自治体の支援や、家族以外の人に運搬を手伝ってもらう方法が候補になります。
分別や収集日が分からなくなっているのか
ゴミの種類ごとに収集日が違う地域では、分別や曜日の管理そのものが負担になることがあります。
自治体の収集カレンダーを大きく印刷して貼る、ゴミ袋を種類ごとに分けるなど、仕組みを簡単にするだけで改善する場合もあります。
ただし、以前は問題なくできていた分別や曜日の管理が急に難しくなった場合は、ほかの生活の変化も確認してください。
ゴミを捨てること自体が負担になっているのか
体力的な問題だけでなく、気力の低下や体調不良などが関係していることもあります。
ゴミ出しだけでなく、食事や入浴、買い物などにも変化があるなら、かかりつけ医や地域包括支援センターに相談することも考えましょう。
家族が毎回ゴミを出しに行くしかない?
離れて暮らしている場合、帰省のたびにゴミをまとめて出す方法もあります。
しかし、収集日と帰省の日が合わなければ、ゴミが何日も家に残ってしまいます。生ゴミが多い季節は、臭いや衛生面も気になります。
家族が近くに住んでいても、仕事や育児があれば、毎週決まった時間に実家へ行くのは簡単ではありません。
そこで、家族がゴミ出しをすることだけを前提にせず、ほかの方法も確認してみましょう。
方法1:自治体のゴミ出し支援を調べる
まず確認したいのが、市区町村による高齢者向けのゴミ出し支援です。
自治体によっては、自分でゴミ集積所まで運ぶことが難しい人を対象に、玄関先などからゴミを回収する事業を行っています。回収時に声かけをして、安否確認を兼ねる制度もあります。
ただし、どの自治体にも同じ制度があるわけではありません。ひとり暮らしであること、要介護認定や障害者手帳があることなど、利用条件が設けられている場合もあります。
調べるときは、インターネットで次のように検索してみてください。
「親が住む市区町村名 高齢者 ゴミ出し支援」
「親が住む市区町村名 ゴミ 戸別収集」
自治体の公式サイトで制度が見つからない場合は、役所の高齢者福祉担当窓口や、地域包括支援センターに問い合わせてみましょう。
制度があっても、申請が必要だったり、利用開始まで時間がかかったりすることがあります。ゴミがたまってから慌てるより、早めに相談しておくと安心です。
方法2:地域包括支援センターに相談する
「自治体の制度があるか分からない」「ゴミ出し以外にも心配なことがある」という場合は、地域包括支援センターへの相談も選択肢です。
地域包括支援センターは、高齢者の生活や介護について相談できる窓口です。
相談するときは、難しい説明を準備する必要はありません。
「一人暮らしの親がゴミ出しをできなくなり、家にゴミがたまり始めています。家族は遠方に住んでいて、毎週通うことができません」
このように、今の状況をそのまま伝えれば大丈夫です。
ゴミ出しだけでなく、掃除や買い物、食事の準備などにも困っている場合は、そのことも伝えましょう。本人の状態や地域の制度に応じて、利用できる支援を確認できます。
介護保険サービスが使えるかどうかも含め、まずは相談先を見つけることが大切です。
方法3:家族以外にゴミ出しを頼む
自治体の支援を利用できない場合や、支援の対象になるまで時間がかかる場合は、民間サービスなどを検討する方法もあります。
たとえば、地域の生活支援サービス、シルバー人材センター、家事代行サービスなどです。
ただし、サービスによって対応できる作業は異なります。室内のゴミをまとめることはできても、屋外の集積所まで運ぶ作業は対象外という場合もあります。
依頼する前に、次の点を確認しましょう。
・ゴミをまとめる作業だけでなく、集積所まで運んでもらえるか
・ゴミの分別にも対応しているか
・収集曜日に合わせて定期的に利用できるか
・交通費や出張費を含めて、いくらかかるか
「ゴミ出しをお願いしたい」と伝えるだけでなく、親の家の状況と、どこまでの作業を頼みたいかを具体的に伝えると、対応できるか判断してもらいやすくなります。
また、室内の掃除や洗濯なども負担になっているなら、家事代行サービスを選択肢に入れてもよいでしょう。ゴミ出しだけを何とかするのではなく、親の暮らし全体を見て、負担が大きい部分から外部の手を借りる考え方です。
ゴミがたまっているとき、勝手に捨ててもいい?
実家に帰ったら、ゴミ袋が何日分もたまっていた。そんなときは、すぐに全部片付けたくなるかもしれません。
ただ、親が自分で管理している物を、何も言わずに処分するのは避けたいところです。ゴミだと思っていた物が本人にとって必要な物だったり、捨てられたことで不信感につながったりすることがあります。
まずは、明らかな生ゴミや衛生上の問題がある物を中心に、本人と相談しながら整理しましょう。
通路がふさがっている、転倒につながりそうな物がある、腐敗した食品が放置されているなど、危険がある場合は安全を優先してください。
大切なのは、家中を一度に完璧に片付けることではありません。まずは安全に歩ける通路を確保し、衛生面の問題を減らすこと。そのうえで、今後のゴミ出しをどう続けるか考えていきましょう。
家族が無理をしない仕組みを作ろう
親のゴミ出しが難しくなったとき、家族が手伝うこと自体は悪いことではありません。
ただ、家族が毎回帰省してゴミを出す方法しかない状態では、仕事や家庭との両立が難しくなることもあります。
最初は、収集日を一緒に確認したり、ゴミ袋をまとめやすい場所に置いたりするだけでも構いません。それでも難しければ、自治体の支援や地域包括支援センター、民間サービスに相談してみましょう。
ゴミ出しができなくなったことは、親の暮らしを見直すきっかけのひとつです。掃除や買い物、食事の準備など、ほかにも負担が増えていないか確認することで、困りごとが大きくなる前に対策を考えられます。
親の生活を支えることと、家族がすべてを背負うことは同じではありません。
無理なく続けられる方法を、親と一緒に探していきましょう。


