2026年に入り、SNS上で拡散された「いじめ動画」が社会問題化しています。なかでも栃木県の県立高校で撮影されたとされる動画は、警察が捜査に乗り出す事態となり、学校現場や生徒、保護者に大きな影響を及ぼしています。
トイレで撮影された10秒の動画が発端
問題となっているのは、学校のトイレ内で撮影された約10秒の動画です。
複数の生徒が見守る中、男子生徒が別の男子生徒に対して殴打や蹴りを加える様子が映っており、周囲の生徒がそれを煽るような言動をしていました。
この動画が1月4日、X(旧Twitter)の暴露系アカウントによって投稿され、瞬く間に拡散。インプレッション数は1億回を超え、全国的な注目を集めることになりました。
警察が暴行事件として捜査、学校も事実関係を認める
動画の拡散を受け、栃木県教育委員会と当該高校、さらに県警が事態を把握。警察は暴行事件として捜査を開始し、動画に映っている生徒らから事情聴取を行っています。
高校側も、動画に映る生徒が自校の生徒であることを認め、「いじめの定義に該当し得る」との見解を示しました。撮影は2025年12月19日、トイレ清掃後に行われたと説明されています。
個人情報が拡散、YouTuberの“自宅突撃”まで発展
一方で、事態は捜査や学校対応にとどまりませんでした。
SNS上では、加害生徒とされる人物の写真や氏名、家族構成、自宅住所といった個人情報が次々と拡散。誹謗中傷が過熱し、ついにはYouTuberが自宅に押しかけ、インターホンを鳴らす様子を動画で公開する事態にまで発展しました。
地元では、学校周辺に県外からの見物人が現れるなど、不安が広がっています。
始業式に関係生徒は不参加 学校生活にも影響
1月8日に行われた始業式には、動画に関係しているとされる生徒は参加しなかったとされています。警察の捜査や安全面への配慮から、自宅待機のような状態にあるとの見方も出ています。
また、この騒動の影響で一部の部活動が大会出場を辞退するなど、動画とは直接関係のない生徒にも影響が及んでいます。
県教委「二次被害が最も深刻」心のケアと安全確保を重視
栃木県教育委員会は、今回の事案で最も懸念している点として「二次被害」を挙げています。
SNSでの誹謗中傷や個人情報の拡散、自宅への押しかけ行為について、「最悪の場合、命に関わる事態になりかねない」と強い危機感を示しました。
現在は、スクールカウンセラーや関係機関と連携し、生徒の心のケアを最優先に対応。県警とも協力し、学校周辺の警戒や安全確保を進めています。
拡散社会で問われる“正義感”のあり方
今回のケースは、いじめそのものの問題に加え、SNS時代ならではの「私刑」や過剰な正義感が新たな被害を生む危険性を浮き彫りにしました。
事実関係が確定しない段階での個人特定や誹謗中傷は、被害者・加害者の区別なく、取り返しのつかない結果を招く可能性があります。
県教委は「公式発表がない情報を鵜呑みにせず、誹謗中傷を控えてほしい」と呼びかけており、冷静な対応が社会全体に求められています。

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