2025年9月3日夕方、ポルトガルの首都リスボンで世界的に知られる観光名所「グロリア昇降機(Elevador da Glória)」が脱線し、建物に衝突する重大事故が発生しました。
この事故では少なくとも17人が死亡、21人が負傷し、ポルトガル国内外に大きな衝撃を与えています。
この記事では、事故の経緯や被害状況、現地の反応、さらにリスボンにおけるケーブルカー文化の背景まで掘り下げて解説していきます。
事故の概要
事故が起きたのは、リスボン中心部のバイシャ地区と丘の上のバイロ・アルトを結ぶ短い区間を走る「グロリア昇降機」です。
リスボン観光の定番ルートとして、多くの観光客に親しまれてきた存在でした。
9月3日午後6時ごろ、下りの車両が運行中にケーブルが外れて制御不能となり、急斜面を滑走。
最終的に道路沿いの建物へ衝突しました。
その衝撃で車体は大きく損壊し、多数の乗客が巻き込まれました。
被害状況
公式発表によると、死亡者は17名、負傷者は21名にのぼります。
負傷者の中には重体の人もおり、現場は一時大混乱となりました。
犠牲者にはポルトガル市民だけでなく、観光で訪れていた外国人も含まれています。
現場周辺はリスボンでも観光客が多く集まるエリアであり、事故直後から救急車や消防が駆けつけ、市民が自主的に救助を手伝う姿も見られました。
引用:Youtube
当局の対応と調査
事故を受けて、リスボン市当局は同市内の全ケーブルカー運行を一時停止し、安全点検を行うと発表しました。
ポルトガル政府は検察と交通当局を中心に事故原因の調査を開始。
現時点では「ケーブルの不具合」や「ブレーキの作動不良」が疑われていますが、老朽化した設備の点検不足や観光シーズンに合わせた運行負担の増大も背景にある可能性が指摘されています。
国民の反応と追悼
リスボン市は事故翌日の9月4日から3日間の追悼期間を設け、市内各所で犠牲者を悼む花やろうそくが捧げられました。
ポルトガル政府も国家的な追悼日を宣言し、国全体で深い悲しみに包まれています。
SNS上では「リスボンの象徴が一夜にして悲劇の現場になってしまった」との声や、「あのケーブルカーに乗ったことがある、自分がそこにいたかもしれない」といった驚きと悲しみの投稿が多数見られます。
観光と経済への影響
リスボンのケーブルカーは、世界遺産地区と観光スポットを結ぶ重要な観光資源です。
特にグロリア昇降機は、リスボン観光ガイドブックやSNS投稿の定番で、毎年数百万人が利用しています。
今回の事故により、観光業界は深刻な打撃を受けると見られます。
旅行会社からは「安全対策が徹底されない限り、ツアーに組み込むのは難しい」という声もあり、しばらくは利用客の減少が避けられないでしょう。
歴史的背景 ― ケーブルカーはリスボンの象徴
リスボンは「七つの丘の街」と呼ばれるほど坂が多く、19世紀から市民と観光客の足としてケーブルカーが導入されました。
中でもグロリア昇降機は1885年に開業し、130年以上の歴史を誇ります。
そのレトロな外観と石畳を進む姿は、リスボンのポストカードや映画のシーンにもたびたび登場してきました。
市民にとっては生活の一部であり、観光客にとっては憧れの乗り物だっただけに、今回の事故の衝撃は一層大きなものとなっています。
今後の課題
今回の事故は「なぜ安全対策が十分でなかったのか」という疑問を呼び起こしています。
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老朽化した車両や施設の点検不足
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利用者急増による過負荷
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過去の小規模な事故から教訓を十分に活かせなかった可能性
こうした課題が浮き彫りになり、リスボン市は今後の運行再開に向けて大規模な安全強化策を迫られることになります。
まとめ
ポルトガル・リスボンで起きたグロリア昇降機の脱線事故は、単なる交通事故にとどまらず、国民的シンボルを襲った悲劇として歴史に残るものとなりました。
観光客に愛され、市民にとって日常の一部だったケーブルカーが突如として命を奪う存在になってしまったことは、多くの人々にとって忘れがたい痛みを残しています。
今後の調査で原因が明らかになり、二度と同じ悲劇が繰り返されないよう、徹底した安全対策が講じられることが強く望まれます。
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