2026年4月1日から、「育児・介護休業法」が大きく変わります。
今回の改正は、子どもを育てながら働く家庭にとってかなり重要。特に 小学生の子どもがいる共働き家庭 には直接かかわる内容が多く、「小1の壁」「小3の壁」を少しでもやわらげる狙いがあります。
ポイントは3つ。
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子の看護休暇が小3までOKに
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残業免除の対象がぐっと広がる
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3歳未満の子どもがいる家庭にテレワークなどの配慮が“努力義務”に
どれも難しい言葉に見えますが、生活に落とし込むと「働きやすくなる仕組み」が増えるイメージです。
ここからは、「実際どう変わるの?」「どこが便利になるの?」という視点で分かりやすく解説します。
■なぜこのタイミングで法律が変わるの?
政府がこの法改正に力を入れている理由はシンプルです。
「子育てしながら働きやすくしないと、ますます子どもが減ってしまう」
という危機感があるためです。
いまは共働きが当たり前の時代ですが、子どもが小学生になると
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行事が平日開催
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宿題のフォローが必要
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体調が不安定になりがち
など、保育園とは違う大変さがのしかかってきます。
「小1の壁」「小3の壁」と呼ばれる負担がちょうどこの時期に集中するため、法律の側からサポートを広げる必要が出てきました。
■① 子の看護休暇が“小3まで”に拡大
一番分かりやすいのが、この看護休暇の拡大です。
これまで:
→ 小学校に上がる前まで
これから:
→ 小学校3年生まで
さらに、休める理由も広がります。
従来は「病気やけがのとき」だけでしたが、2026年からは
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授業参観
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面談
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運動会などの学校イベント
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不安があって見守りたい時
など“病気以外”の理由でも休めるようになります。
●なぜ小3までなの?
実は、学校行事や家庭でのサポートが一番大変なのは 低学年の時期 だと言われています。
宿題や生活リズムのフォローが必要だったり、学校生活に不安定さがあったりと、「親の出番」が最も多い年代です。
「病気じゃないけど、学校の用事で休まざるを得ない」
これが、働く親を苦しめてきた理由の一つでした。
■② 残業免除の対象が広がる
もう一つの大きな変更は、子どもが小学校に入るまでの期間、残業を免除してもらえるという点です。
従来:3歳未満の子どもがいる場合だけ
改正後:小学校に上がるまでOK
これまでは3歳を超えると「残業お願いします」と言われても断れないケースが多く、
「帰宅時間が子どもと合わずに負担が増える」
という悩みが続いていました。
●働く親にとって何がラクになる?
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夕方に保育園・幼稚園へ迎えに行きやすくなる
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子どものリズムに合わせて早めに帰れる
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毎日の生活の“時間のやりくり地獄”から少し解放される
特に、両親ともフルタイムの家庭には大きなメリットです。
■③ テレワークや時差出勤に企業が配慮する義務が生まれる
3歳未満の子どもがいる家庭に対して、企業は
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テレワーク
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時差出勤
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短時間勤務
など柔軟に働ける環境を作るよう「努力しなければならない」とされます。
「努力義務」なので罰則はありませんが、今後は企業の姿勢が公開される可能性もあり、社会的な目が強くなります。
●実は“静かに大きい”この変更
これまでの日本は「会社にいる=働いている」という考えが根強く、テレワークも広がりにくい環境でした。
ここが変わるだけで、
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朝の保育園送迎がしやすくなる
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夕方の帰宅時間の調整が楽になる
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通勤ストレスが軽くなる
など生活の質がガラッと変わります。
育児と仕事の両立が“特別な努力”ではなく“普通”になっていく第一歩です。
■働く親のリアルな声
世間の声をまとめると、こんな反応が多いです。
●「小学生がいちばん大変」
放課後の預かり時間の短さ、学校の予定の多さ、宿題のフォローなど、低学年は本当に親の手が必要です。
●「テレワークがあれば辞めずにすんだ」
出産や育児で離職した人ほど、柔軟な働き方の必要性を強く感じています。
●「会社がどこまで対応してくれるか不安」
制度と現場の間にはどうしてもギャップがあります。
シフト職や中小企業では「対応が大変」という声が多いです。
■企業側のホンネ
企業側にもメリットと課題があります。
○メリット
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子育て世代の離職を減らせる
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求職者からのイメージがよくなる
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女性だけでなく男性社員の育児参加も進む
○課題
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シフト職はどう回すか
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テレワークの仕組みづくりにコストがかかる
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休暇取得が広がると人手不足が深刻になる
「制度は理解しているけど、現場で回せるか不安」というのが人事担当者の本音です。
■制度の“落とし穴”にも注意が必要
今回の制度は前向きですが、いくつか課題も残ります。
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休みを取りやすい“職場の雰囲気”がないと利用が広がらない
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非正規雇用の人はまだまだ使いづらい
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小3以降も育児は続くので、将来的にはさらなる制度拡大が必要
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テレワークが難しい業種での格差が広がる可能性
制度があるだけでは十分ではなく、「使いやすい雰囲気」を作ることが本当のスタートラインです。
■まとめ:2026年の春、子育て家庭の働き方が大きく前に進む
今回の法改正で変わるのは次の3つ。
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看護休暇が小3までに
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残業免除が小学校入学までに拡大
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柔軟な働き方への企業の“努力義務”
どれも子育てと仕事を両立するうえで役立つ内容です。
もちろん課題はありますが、「子育てしながら働くのは大変だけど、制度がちゃんと支えてくれる」という方向に、日本全体が少しずつ動いているのは確かです。
2026年4月の改正は、働き方が“子育てに寄り添う時代”に変わる大きな一歩になりそうです。


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