2025年8月7日、米製薬大手イーライリリー社が開発中の経口GLP-1受容体作動薬「orforglipron(オルフォルグリプロン)」について、世界中の肥満治療に大きなインパクトを与える発表がありました。
この薬は、日本の中外製薬が創製した有望な新薬候補。
今回、肥満や過体重の成人を対象とした大規模な臨床試験で非常に良好な結果が確認され、注目が集まっています。
■ 話題の「GLP-1」ってなに?
GLP-1受容体作動薬は、もともと糖尿病の治療薬として開発された薬ですが、食欲を抑える効果があるため、「痩せる薬」として近年ブームになっています。
欧米ではすでに注射型のGLP-1薬が著名人などの使用で話題になっており、医療ダイエット市場でも存在感を増しています。
今回注目されているorforglipronは、“飲み薬タイプ”という点で革命的。
これまでのGLP-1薬の多くは注射が必要だったため、手軽さという面で大きな前進となります。
■ 3000人以上を対象とした大規模試験で圧倒的な成果
発表によると、アメリカを中心に3,127人の成人を対象にした「ATTAIN-1試験」では、orforglipronを72週間にわたり1日1回服用した人たちの体重が、平均で12.4kgも減少したという驚きの結果に。これは体重の約12%に相当します。
さらに、
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約60%の人が「10%以上」の体重減少に成功
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約40%の人が「15%以上」の減量に成功
と、多くの人に効果があったことがわかりました。
しかも、特別な食事制限や断食は求められておらず、「普通の生活」のままこの結果が出たのも注目ポイントです。
■ 副作用は?本当に安全なの?
気になる副作用については、悪心(気持ち悪さ)、下痢、便秘、嘔吐などの消化器系の症状が見られたものの、ほとんどが軽度から中等度。
薬の服用をやめた人の割合も5〜10%程度で、プラセボ(偽薬)と大きくは変わらず、極めて良好な「安全性」だったとされています。
肝機能に影響を与えるような深刻な問題もなかったとのことです。
■ 中外製薬にとって何がすごいの?
中外製薬は、このorforglipronの創製を担当しており、日本企業が世界の肥満・糖尿病治療の最前線に関わっていることになります。
薬の開発自体はイーライリリー社が主導していますが、中外製薬にとっても名誉ある共同プロジェクトであり、世界的に認められる「創薬力」を証明する大きなチャンスといえます。
■ 今後の流れは?
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orforglipronは、年内にも世界各国の規制当局に「体重管理薬」として承認申請される予定。
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日本での販売時期は未定だが、近い将来「飲むだけで痩せる薬」として国内でも使える日が来る可能性がある。
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さらに、糖尿病患者を対象にした試験「ACHIEVEシリーズ」の結果も年内に発表される見込み。
■ まとめ:新しい「飲むダイエット薬」に世界が期待
今回の発表は、肥満治療の常識を塗り替える可能性のある、非常に重要なマイルストーンです。
中外製薬とイーライリリーのタッグが、注射に頼らない“経口GLP-1薬”という新しい選択肢を世界に提供しようとしています。
今後の承認審査や日本国内での展開がどうなるかに、引き続き注目が集まりそうです。
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