2025年7月27日にノエビアスタジアム神戸で開催予定だったFCバルセロナ対ヴィッセル神戸の親善試合が、試合4日前という異例のタイミングで突然中止されました。
バルセロナ側は「主催プロモーターによる重大な契約違反があった」として、ツアーごと中止を決定。ファンや関係者に大きな衝撃を与えました。
そしてこの中止劇の中心にいたとされるのが、「ヤスダグループ(YASUDA GROUP)」という、聞き慣れない名前の企業です。
今回は、このヤスダグループがどのような企業なのか、なぜここまで大きなトラブルに発展したのかを深掘りします。
ヤスダグループとは?設立はわずか2年前

引用:YASUDA GROUP
ヤスダグループは、2023年10月に設立されたばかりの新興企業です。
代表取締役は安田慶祐氏、常務執行役員には谷川烈氏が名を連ねています。
所在地は東京都中央区。資本金は1000万円とされており、いわゆる大手企業とは言い難い規模です。
しかし、活動内容は意欲的で、欧州サッカークラブとの提携やスポーツイベントの主催など、国際的な事業に積極的に参入していました。
特に注目されたのは、スペイン1部・レアル・ソシエダのジャパンアカデミー運営を担当していた点で、日本国内でのサッカー育成にも力を入れていた様子が見受けられました。
また、伊東純也選手や中村敬斗選手が所属するスタッド・ランスのジャパンツアーもサポートしていたとされ、表向きは非常に“信頼できそうな”企業に見えていました。
今回の中止で浮上した「契約違反」疑惑
今回、ヤスダグループに対して契約違反を告発したのは、韓国のD-Drive社です。
D-Drive社は、バルセロナと日本および韓国でのアジアツアーを仲介・運営していた企業で、7月23日に公式声明を発表し、「ヤスダグループによる重大な契約違反が発覚したため、バルセロナの来日を断念せざるを得なかった」と説明しました。
具体的には以下の問題が指摘されています。
- ヤスダグループがバルセロナ側への必要な支払いを怠った
- 偽造書類を使って、スタジアム使用の許可やスポンサー契約を装った
- D-Drive社に対しても虚偽の情報を提供していた
これらの行為は、単なる業務ミスではなく、詐欺的な行為に近い内容であるとD-Drive社は強調しています。
さらに、バルセロナの副会長も「我々のブランドが不当に扱われた。クラブとファンへの侮辱だ」と公に怒りを露わにしました。
なぜこのような企業に主催を任せたのか?
バルセロナクラスのビッグクラブが、なぜこのような設立間もない小規模企業と契約を結んでしまったのか。
この点についても、多くのファンや関係者が疑問を抱いています。
背景には、D-Drive社が当初、アジアツアーの全体的な運営を担っており、各国で信頼できる現地パートナーを探していた事情があるようです。
ヤスダグループは、過去にソシエダやスタッド・ランスのイベントを手掛けた実績があり、少なくとも表向きには「経験のある企業」と認識されていたと考えられます。
しかし実際には、資金力や人材、そしてイベント運営のノウハウが不足していた可能性が高く、今回のようなトラブルを防ぐ仕組みが社内に整っていなかったのではないかと見られています。
チケット購入者はどうなる?ファンから怒りと不安の声
試合中止の影響を最も受けたのは、もちろんファンです。
数万人規模の動員が想定されていたイベントで、すでに航空券・宿泊施設・チケットを確保していたファンも少なくありません。
SNS上では「仕事の休みを取っていたのに」「子供に見せたかった」「数十万円が無駄になった」という怒りと悲しみの声が相次ぎ、返金対応や補償についても注目が集まっています。
現時点では、チケット販売元が独自に返金手続きを進める動きも見られますが、ヤスダグループ側からの説明は一切なし。
法人サイトやSNSなどのアカウントも沈黙したままで、責任の所在があいまいになっている状況です。
今後の展開は?法的措置や日本の信用問題にも発展か
D-Drive社およびFCバルセロナは、ヤスダグループの行為に対して「法的措置も検討中」とコメントしており、今後は訴訟沙汰に発展する可能性もあります。
一方で、この一件が日本のスポーツビジネス全体にも影響を与えかねないという懸念もあります。
バルセロナのような世界的クラブが「日本でのイベント開催にはリスクがある」と判断すれば、今後のツアーやプロモーションが敬遠される恐れもあるからです。
信頼の回復には、再発防止策の明示、関係者への説明責任、そしてチケット購入者への誠実な対応が不可欠です。
まとめ|ヤスダグループ問題は氷山の一角か?スポーツイベントの“裏側”に迫る
設立から2年未満のヤスダグループが、なぜ世界的クラブのイベント主催を担えたのか、そしてなぜこれほどまでのトラブルに発展したのか。その全貌は未だ明らかではありません。
今回のバルセロナ戦中止は、単なる一企業の失敗ではなく、スポーツビジネスにおける信頼性、透明性、契約リスク管理の重要性を改めて浮き彫りにしました。
今後、ヤスダグループから何らかの公式発表があるのか、それともこのまま“夜逃げ”的な展開になるのか、引き続き注視する必要があります。
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