「娘のバイクが盗まれて、やっと見つかったと思ったらボロボロでした」。
大阪府内で発生した盗難バイク事故をめぐり、「金がないから払えない」という加害側の主張が波紋を呼んでいます。被害者の母親はSNSで怒りと困惑を訴え、多くの共感と議論を呼び起こしました。
■盗難から数か月後、事故で発覚した愛車
被害者の娘が駅前の駐車場に停めていた愛車 ホンダ ズーマー が盗難に遭ったのは2024年12月。警察から発見の連絡が入ったのは翌年5月。
しかし、それは喜ばしい知らせではありませんでした。
見つかったバイクはスプレーで色を塗り替えられ、事故で大破。4月に事故を起こしたことで盗難車と発覚したのです。運転していたのは、窃盗犯とは別の中学生の男子。つまり、盗まれた車両がさらに第三者に使われ、事故を起こされたという異例の経緯でした。
■修理不能の損壊、被害額は25万円
ズーマーの市場価格は平均約23万円。さらに処分費用が2万円かかり、合計25万円の損失。
しかし、事故を起こした少年はわずか14歳。弁償能力はなく、保護者に賠償を求めることになりました。
弁護士を通じて少年の祖父に交渉しましたが、返ってきた答えは驚くべきものでした。
「お金がないから払えない。盗んだ人に払ってほしい」
祖父母や母親に資力があるとみられる情報もあるなか、「払えない」の一点張りに、被害者の母親は憤ります。窃盗犯は依然として逃走中で、実質的に賠償の行き場がなくなっているのです。
■保護者の責任は?法的視点から整理
このケースでは、少年が盗難バイクに乗って事故を起こしたことが争点です。
民法上、未成年者には通常、損害賠償責任能力が認められません。しかし保護者(親など)には「監督義務」があり、監督義務を果たさなかったと認定されれば、賠償責任を負う可能性があります。
●該当する可能性がある法的根拠
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民法第709条(不法行為による損害賠償)
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民法第714条(責任無能力者の監督義務者の責任)
ポイント
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加害者が未成年で責任能力がなくても、保護者に監督責任がある
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保護者が「監督を尽くした」ことを証明しない限り、免責されにくい
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「お金がない」は賠償責任を免れる理由にはならない
■「払えない」では終わらない 被害者側の対応策
弁護士によれば、「支払えない」と言われた場合でも、以下のような手段をとることが可能です。
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民事訴訟を提起する
→ 保護者に対し損害賠償請求を行い、勝訴すれば強制執行の可能性も。 -
少額訴訟制度の活用
→ 60万円以下の請求であれば迅速な手続きが可能。 -
弁護士会や法テラスへの相談
→ 費用を抑えて法的手段に踏み切ることができる。
ただし、訴訟を起こしても、実際に支払える資力がなければ回収が難しいケースもあるため、慎重な判断が必要です。
■「加害者の人権ばかりが守られるのか」ネット上で議論に
SNS上ではこの話題に対し、さまざまな意見が寄せられました。
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「盗まれた上に壊されて泣き寝入りなんておかしい」
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「子どもがやったからといって免罪にはならない」
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「被害者救済の制度が追いついていない」
法律上、被害者救済の仕組みが限られている現実が浮き彫りになった形です。
■泣き寝入りを防ぐために
被害者側ができることは限られているように見えますが、法的にまったく手段がないわけではありません。
・監督義務者(保護者)に責任を問う
・訴訟や調停による請求
・弁護士や法テラスへの相談
こうした一つ一つの対応が、泣き寝入りを防ぐ手段となり得ます。
■まとめ
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盗難バイクが第三者(中学生)によって事故を起こされた
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「払えない」では責任は免れない可能性がある
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保護者には民法上の監督責任が問われ得る
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法的手段を検討することが泣き寝入り防止につながる
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