【700万人超図書館】こんなにも人が集まるアイデアとは? 「静かに」を覆した“居心地のいい”の再定義

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「図書館=静かに過ごす場所」という従来のイメージを、思いきって転換した施設があります。
都城市立図書館です。

2018年、宮崎県都城市の市役所近くから中心市街地に移転したこの図書館は、「自分がいてもよいと思える居場所をつくる」というコンセプトを掲げました。禁止事項をできるだけ減らし、居心地のよい空間を演出。結果として、幅広い世代の人々が自然と足を運ぶ場所へと変化しました。

来館者は累計700万人を突破。これは単なる図書館の人気を超え、まちづくりの拠点として機能していることを示しています。

これを実行した!思い切った戦略とは

ここ数年で、もう一つの柱として打ち出されたのが「一人一人が大事なものを見つける」というコンセプトです。
図書館は、利用者の「やりたい」という気持ちに職員が伴走し、形にする場へと進化しました。

その象徴的な事例が、地元で飲食店を営む鎌田美里さんの「千日夜市」です。

七夕飾りで彩られた懐かしい街並みを再現したいと願った鎌田さん。初開催前、集客に悩み相談に訪れた彼女に対し、図書館は告知スペースの設置を提案。結果として、イベント初回には2000人もの来場者が集まりました。

「多くの市民が出入りする図書館が関わってくれたおかげ」と鎌田さんは感謝します。

① 「静かに」のルールをなくした → 居心地のよい空間へ

従来の図書館は「私語厳禁」「飲食禁止」「携帯NG」など、厳しいルールが多いのが普通です。
でも都城市立図書館では、 その“禁止事項”を極力なくした のが大きな特徴。

  • 館内での会話OK

  • カフェスペースの併設

  • 飲み物を持ち込める

  • イベントブースで自由に活動できる

こうした環境が「長く滞在したくなる」「また来たい」という気持ちを生み出しました。


② 「イベントの発信基地」として市民を巻き込んだ

図書館がただ“場所を貸す”のではなく、 市民の企画を一緒に実現する伴走役 になっています。

たとえば:

  • 地元飲食店オーナーの鎌田美里さんが企画した「千日夜市」の告知スペースを館内に設置。
    → 結果:初回の来場者は2000人。

  • 図書館がイベント主催者と地域の人や団体を“つなぐ”仲介役に。
    → 口コミで市民の輪が広がる。


③ 若者・高校生との協働 → 「次世代の街づくり」へ

図書館は都城商業高校の部活動(共創ウェルビーイング部)と連携し、
学生の企画を実現するサポートも行っています。

  • 高校生と一緒に「積みコップイベント」を実施

  • 古ビルの壁を活用したアートイベントを仲介
    → 「学生のアイデア」が街の活性化につながる成功事例に。


④ コロナ禍で「受け身から攻め」に意識転換

2020年のコロナ禍で休館が続き、来館者がいなくなったことで職員が危機感を共有。
そこで始まったのが、 図書館自ら地域の記憶や人の想いを発掘する企画 です。

  • 1935年の街の絵図をもとに、市民の証言を集めた「まちなか記憶展」を開催

  • 街の歴史を再現 → 懐かしさと地域愛が広がる

  • 現在では8回を超える人気イベントに成長


⑤ 「雑談」がカギ!情報が自然に集まる場所に

館長の井上康志さんが強調しているのが、「雑談文化」の広がりです。

  • 職員が積極的に来館者と雑談する

  • その中でイベントや地域情報をキャッチ

  • 必要な人に情報を“つなぐ”役割を果たす

結果として、図書館は 「情報のハブ」=地域の人の動きを生む場所 になりました。

高校生とつながり、街の未来を描く

地域の若い世代も、この図書館と強く結びついています。
都城商業高校の共創ウェルビーイング部は、地域の人々が緩やかにつながる居場所を目指す部活動。顧問の北郷晶子教諭によると、図書館が積極的に声をかけてくれたことで活動の幅が広がったといいます。

積みコップイベントや古ビルの壁を使ったアートイベントなど、図書館が仲介役となることで実現した企画は数多く、地域の高校生たちにとっても「挑戦を支えてくれる拠点」となりました。

コロナ禍がもたらした「意識の変化」

館長の井上康志さんによると、転機は新型コロナ禍だったといいます。
2020年度には75日間、2021年度にも10日間の休館を余儀なくされたことで、職員の間に「受け身のままではいけない」という意識が芽生えました。

この危機感から生まれたのが、市民の記憶を集めた「まちなか記憶展」です。1935年の絵図をもとに街並みを再現し、これまでに8回開催。市民が自ら語り、参加するイベントとして人気を集めています。


図書館が「街のハブ」になる時代

「職員の意識が変わり、来館者と積極的に雑談するようになった。雑談の中から地域の情報を拾い、それを必要な人につなぐことで街に動きが生まれる」と井上館長は語ります。

図書館は静かに本を読む場所から、「街のアイデアを生む場所」へと進化しました。
集客数の数字だけでなく、市民同士のつながり、地域の活性化に貢献している点が、都城市立図書館の大きな特徴です。

まとめ:「人が集まる場所」は“ルール”ではなく“空気”でつくられる

都城市立図書館の成功は、ハード面の設備よりも、「人が心地よくいられる空気づくり」にあります。

禁止事項を減らし、市民の「やりたい」を応援するスタイルが、700万人という来館者数を生みました。図書館が街の中心にあるということは、地域の未来にとって大きな意味を持ちます。

静かに本を読むだけの場所ではなく、世代を超えてアイデアと人が集まる場所。
それが、都城市立図書館が多くの人を惹きつける理由です。

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