2025年5月11日、富山県警は富山大学都市デザイン学部の准教授・滝谷弘容疑者(49)を、風営法違反の疑いで逮捕しました。
容疑は、性風俗営業が禁止されている地域で、無許可のメンズエステ店を経営し、性的サービスを提供していたというものです。
この事件は教育界に大きな衝撃を与えており、地域社会や学術界を巻き込んだ波紋が広がっています。
概要と逮捕の経緯
警察の発表によりますと、滝谷容疑者は富山市内のアパート一室を利用し、違法な形で営業していたメンズエステ店を事実上運営していました。
共に逮捕されたのは、会社役員の宮崎稔之容疑者(39)と、店で勤務していた19歳の女性です。
警察は以前からこの店舗の存在に注目しており、SNSや匿名通報などをもとに内偵を進めていたとのことです。
捜査員が実際に店舗を訪れ、性的サービスが提供されていることを確認した上で、家宅捜索に踏み切り、三人を一斉に逮捕しました。
准教授の“裏の顔”
滝谷容疑者は、富山大学で都市デザインに関する研究や教育を行っており、長年にわたって学生指導にも従事していたとされています。
周囲からは温厚で真面目な印象を持たれていた一方で、その裏では高収益を狙った風俗店経営に手を染めていたとみられています。
店の運営にはSNSやネット広告を駆使して集客が行われており、売上は月に数十万円から数百万円に達していた可能性があると捜査関係者は見ています。
これらの行為は公務員の副業としても明らかに違法であり、大学の信頼を大きく損ねる結果となりました。
大学の対応と社会的影響
富山大学は事件発覚直後に公式コメントを発表し、「誠に遺憾であり、事実関係を確認のうえ、厳正に対応する」と述べました。
現在、大学では関係部署による内部調査が進められており、研究費の使用状況や外部活動の届け出の有無など、詳細な調査が行われています。
今回の事件は教育機関としてのガバナンス体制にも疑問を投げかけており、「こうした違法行為を事前に把握できなかったのか」という批判が一部から上がっています。
また、学生や保護者への説明責任も問われており、大学側の今後の対応次第では、さらなる信頼低下を招くおそれもあります。
副業と公務員の倫理問題
近年、大学教員による副業や地域連携活動が広がりを見せていますが、その一方で副業の「グレーゾーン化」が問題視されています。
本来、公務員は届け出なしで営利活動に関与することは厳しく制限されており、ましてや風営法違反の事業に関与するなどは論外とされています。
今回のように、教育者という立場にありながら、社会通念上許されない事業を運営していたという事実は、制度の限界と指導体制の甘さを浮き彫りにしました。
地元住民と学術界の反応
事件発覚後、地元では驚きと失望の声が広がっています。「子どもが通う大学でこんなことがあったなんて信じられない」「学生にどう顔を合わせるつもりだったのか」といった声が聞かれ、富山大学への信頼が大きく揺らいでいます。
学術界でも動揺が広がっており、大学関係者の間では、「准教授という立場でありながらこのような行為に及んだ責任は極めて重い」との声が出ています。
研究者のモラルや倫理観について、改めて見直す必要性が問われています。
今後の見通し
富山県警は今後、店舗の資金の流れや営業の実態をさらに解明するとともに、関与していた人物の特定や拡大捜査も行っていくと見られています。
また、富山大学側も処分については懲戒解雇を含めて検討していると報じられています。
この事件は、公務員の副業、教育者としての倫理、風俗業界と地方社会のつながりといった複数の観点から、多くの問題を浮かび上がらせました。
今後の大学の対応や司法判断が注目されるとともに、同様の事例が他地域で起きないための制度整備が急務といえそうです。
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