2025年12月16日、日本維新の会の吉村洋文代表は高市早苗首相と会談し、税制改正に関する強い要望を伝えました。最大の焦点は、縮小が検討されている「高校生年代の扶養控除」の維持です。
自民党との連立入りを果たした維新ですが、肝いりの政策が難航する中、目に見える「成果」を急いでいる舞台裏が透けて見えます。
■ 1. 維新が突きつけた「3つの重要要望」
吉村代表が今回の会談で強く求めたのは、主に以下の3点です。
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高校生扶養控除の維持: 児童手当の拡充に伴い検討されている控除額の引き下げに反対し、現状維持を要求。
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「ひとり親控除」の拡充: ひとり親家庭の税負担を軽減するため、控除額の引き上げを提案。
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租税特別措置(政策減税)の適用見直し: 企業などの減税措置のあり方について見直しを要請。
■ 2. なぜ今「高校生扶養控除」なのか?
政府は現在、児童手当を18歳まで延長する代わりに、親の所得税から差し引かれる「扶養控除」を縮小する方向で調整を進めています。
しかし、控除が縮小されれば、児童手当の増額分と控除の減少分が相殺され、「実質的な手取りが増えない(あるいは減る)」世帯が出てくる懸念があります。維新としては、教育無償化を掲げる党の看板政策として、ここでの妥協は「連立を組んだ意味がない」と判断されるリスクがあるのです。
■ 3. 背景にある「維新の焦り」と定数削減の断念
今回の要望の背景には、維新が直面している苦境があります。
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定数削減の断念: 維新が強く求めていた「衆院定数削減法案」の今国会成立が事実上見送りとなりました。
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連立の意義を問われる: 「身を切る改革」が足踏みする中、支持層に向けて「連立を組んだからこそ、家計を守る減税を実現できた」という具体的なカード(成果)が必要になっています。
■ 今後の焦点:高市政権の対応は?
高市首相にとって、維新は政権運営に欠かせないパートナーです。しかし、税制改正は財務省や自民党内の調整も複雑に絡みます。
高市首相が維新の顔を立てて「扶養控除維持」に踏み込むのか、それとも別の形で妥協点を探るのか。年末の税制改正大綱の決定に向けた、激しい攻防が予想されます。

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