2025年10月16日、神戸市北区で2010年に発生した高校生殺害事件で、被害者・堤将太さん(当時16歳)を殺害した罪に問われていた当時17歳の元少年(現在32)に対し、最高裁判所が上告を棄却し、懲役18年の判決が確定しました。
この事件は、約11年の時を経てようやく判決が確定するという異例の経過をたどっています。
◆ 事件の概要
2010年、神戸市北区で当時高校2年生だった堤将太さんが殺害されました。
犯人とされた元少年は事件当時17歳で、事件後に姿をくらまし、10年10カ月間逃亡。2021年8月、28歳になったところでようやく逮捕されました。
裁判では元少年が堤さんを殺害した事実が認定され、1審で懲役18年の判決。控訴審の大阪高等裁判所もこれを支持し、元少年側は最高裁判所に上告しましたが、14日付で棄却されました。
◆ 少年法の壁と匿名報道
逮捕当時、元少年は28歳でしたが、犯行時が17歳だったため、少年法に基づき実名や顔写真は公表されませんでした。
少年法は「更生の可能性」を重視する仕組みで、年齢にかかわらず「犯行時の年齢」で扱いが決まるため、今回も少年法の適用対象となっています。
この点に対しては、SNS上でも
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「10年以上逃げていたのに少年法っておかしい」
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「名前も出ないのは納得できない」
といった厳しい声が数多く寄せられています。
◆ 被害者遺族の思い
堤さんの父・敏さんは、判決確定を受けて取材に応じました。
「懲役18年という判決を言い渡してくれた司法には感謝している。しかし、元少年は逮捕まで10年10カ月逃亡していた。その期間は1日、1日罪を重ねているようなもので、それを考えると判決は軽いと思っている」
長い年月、事件の真相と向き合い続けてきた遺族にとって、今回の判決は一区切りではあるものの、決して完全な「解決」ではありません。
◆ 判決18年に対する反応
今回の懲役18年という量刑は、法律上「少年法による処遇」が反映された形です。
しかしネット上では、
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「逃亡していた期間も考慮されるべき」
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「遺族の気持ちを考えると軽すぎる」
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「実名報道できないのも理不尽」
といった批判が相次いでいます。
一方で、法律の運用上、「犯行当時の年齢」が基準となることから、制度そのものの見直しを求める声も強まっています。
◆ 少年犯罪と量刑の課題
日本では、少年法が戦後から長く続く制度として存在しており、「更生の可能性」に重点が置かれています。
ただし近年は、凶悪事件に対する厳罰化を求める世論の高まりを受けて、一定の見直しが進められています。
たとえば、
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2000年:重大事件を対象に「逆送制度」が拡大
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2022年:18歳・19歳を「特定少年」として厳罰化の対象に
しかし、今回のように犯行当時が17歳だった場合は、現在の法律でも少年法の枠内で処理されます。
◆ 今後の注目点
今回の判決確定を受け、少年犯罪と逃亡期間の扱いについて、法制度のあり方が改めて問われる可能性があります。
また、長期逃亡した加害者への量刑の妥当性、遺族の権利、実名報道の是非など、社会全体での議論が高まることが予想されます。
📝 まとめ
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2010年の高校生殺害事件、犯行時17歳の元少年に懲役18年が確定
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約11年間の逃亡の末、2021年に逮捕
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少年法の適用で実名報道はなし
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遺族は「軽すぎる」と心情を吐露
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逃亡期間の扱いや少年法の是非が社会の議論に
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