親が施設に入ることになった。実家はどうする?

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親のこれから

親が高齢になり、一人暮らしが難しくなってきた。

介護施設や高齢者向けの住まいに入ることが決まった。

親としては安心できる場所が見つかったものの、子どもの立場からすると、ここで別の問題が出てきます。

「今まで住んでいた実家はどうすればいい?」

という問題です。

家具も家電も残っています。

洋服も大量にあります。

長年暮らしてきた家なので、思い出の品もたくさんあります。

だからといって、施設に入った直後から家族だけで全部処分するのも大変です。

一方で、そのまま放置してしまうと、誰も住んでいない家の管理という別の問題も出てきます。

実家を売るのか、残すのか、それとも誰かが住むのか。

まだ決められない場合もあるでしょう。

今回は、親が施設に入ることになったとき、実家をどう考えていけばいいのかを整理します。

まず「実家をどうするか」をすぐに決めなくてもいい

親が施設に入ると、「もう誰も住まないんだから、すぐに片付けなきゃ」と思ってしまうかもしれません。

でも、必ずしも入居直後に家の処分まで決める必要はありません。

施設での生活が始まったばかりなら、親自身も新しい環境に慣れることで精一杯かもしれません。

また、施設に入ったからといって、必ずしも今後ずっと実家に戻らないとは限りません。

親の状態や施設での生活、家族の事情などによって、実家をどうするかの判断は変わってきます。

まずは「売る」「壊す」といった結論を急がず、家をどうする可能性があるのかを家族で話してみましょう。

例えば、子どもが将来的に住む可能性があるのか、親族が使う可能性があるのか、それとも今後使う予定がないのか。

ここが分かるだけでも、その後の片付け方はかなり変わってきます。

最初にやるべきなのは「家財の整理」

実家をどうするか決める前に、まず考えたいのが家の中にある物です。

親が施設に持っていく物と、実家に残す物を分けていきます。

施設の部屋は実家ほど広くないことが多いため、家具や衣類などをすべて持っていくわけにはいきません。

だからといって、家族が勝手に「これはいらない」と判断して捨てるのは避けたほうがいいでしょう。

特に、写真や手紙、趣味の道具、昔から使っている家具などは、本人にとって大切な物かもしれません。

まずは親に確認しながら、施設へ持っていく物、実家に残す物、処分を検討する物に分けます。

判断に迷う物は、無理に処分する必要はありません。

箱などにまとめて一時的に保管しておき、後から考えてもいいでしょう。

前の記事でも紹介したように、実家の片付けは「全部捨てる」ことが目的ではありません。

親がこれからどのように暮らすのかを考えながら、必要な物を整理していくことが大切です。

通帳や書類などは特に注意する

片付けの中で注意したいのが、重要な書類です。

実家には、通帳、印鑑、保険関係の書類、年金関係の書類、不動産関係の書類、契約書など、普段はあまり使わない物が保管されていることがあります。

これらを「古い書類だから」と一緒に処分してしまうのは避けましょう。

親が施設に入るタイミングは、今後のお金や契約などを整理するきっかけでもあります。

どの銀行を利用しているのか。

保険には何に入っているのか。

家や土地の名義は誰になっているのか。

公共料金や電話など、どんな契約が残っているのか。

こうしたことを家族が把握しておくと、後になって困りにくくなります。

ただし、親の財産や契約については、家族だからといって何でも自由に処分・変更できるわけではありません。

親本人の意思を確認しながら整理することが大切です。

実家を「残す」場合は管理が必要

「とりあえず実家は残しておこう」

という選択もあります。

親が施設に入ったばかりなら、すぐに売却する必要がないケースもあるでしょう。

ただし、誰も住まない家を残すなら、管理について考えておく必要があります。

人が住まなくなった家は、換気や清掃、庭の手入れなどが行われなくなります。

雨漏りや設備の故障などにも気づきにくくなります。

国土交通省も、空き家を長期間放置すると老朽化や損傷が進み、売買や賃貸が難しくなったり、周辺に迷惑をかけたりするおそれがあるとして、空き家になった場合は早めに「しまう」か「活かす」かを考えるよう案内しています。

そのため、「まだ決められないから、とりあえずそのまま」という場合でも、最低限の管理方法は決めておきましょう。

誰が定期的に見に行くのか。

郵便物はどうするのか。

庭の手入れはどうするのか。

水道や電気などの契約はどうするのか。

遠方に住んでいて自分で管理できないなら、家族以外の管理サービスを利用する方法もあります。

売るのか、貸すのか、それとも残すのか

実家を今後どうするかは、大きく分けると「誰かが住む」「売る」「貸す」「しばらく残す」といった選択肢があります。

子どもが住む予定があるなら、急いで処分する必要はありません。

逆に、家族の誰も住む予定がなく、今後も使う予定がないのであれば、売却などを検討することになります。

貸すという方法もありますが、家の状態によっては修繕やリフォームが必要になることもあります。

また、自治体によっては空き家バンクなどを利用できる場合もあります。国土交通省も、空き家を売りたい・貸したい場合の選択肢として、自治体の空き家バンクを案内しています。

重要なのは、最初から一つに決めつけないことです。

家の状態、立地、維持費、親や家族の希望などを確認したうえで考えていきましょう。

「親が施設に入ったら、実家を売る」でいいの?

ここは少し注意したいところです。

施設に入ったからといって、すぐに家を売る必要があるとは限りません。

親がその家をどうしたいと思っているのかも重要です。

「まだ家は残しておきたい」

「子どもに使ってほしい」

「もう誰も使わないから売ってもいい」

など、本人の考えはそれぞれ違います。

また、家の名義や親の判断能力、家族構成などによっては、売却の手続きが簡単に進まない場合もあります。

特に、親本人の意思確認が難しい状態になってから不動産を処分しようとすると、家族だけでは判断できない問題が出てくることがあります。

そのため、親が元気なうちに、

「この家、これからどうしたい?」

と話しておくことは大切です。

国土交通省も、空き家を放置しないためには、親が元気なうちから家族で将来について話し合い、「誰が住むのか」「売るのか」「貸すのか」などの方針を決めておくことを勧めています。

施設に入る前に、家族で決めておきたいこと

できれば、親が施設へ移る前後に、一度家族で実家について話しておきましょう。

「家をどうするか」だけではなく、

「家の中の物をどうするか」

「重要書類をどこに保管するか」

「誰が家を管理するか」

「今後売却する可能性はあるか」

「固定資産税などの費用を誰が負担するか」

といったことまで話しておくと、後から家族同士でもめにくくなります。

特に兄弟姉妹がいる場合は、最初に考えを共有しておくことをおすすめします。

一人だけが実家の管理や片付けを担当すると、時間もお金も負担が偏ってしまうことがあります。

「自分がやるしかない」と抱え込む前に、誰が何を担当するのかを決めておきましょう。

実家をどうするか決められないなら、まず片付けだけでもいい

施設への入居が決まったものの、

「売るかどうかはまだ決められない」

という家庭もあると思います。

その場合は、無理に家の処分まで進める必要はありません。

まずは親が施設に持っていく物を整理し、家の中の重要書類を確認し、危険な場所や不要な物を少しずつ片付ける。

それだけでも十分です。

家を売るかどうかは、その後に考えても構いません。

むしろ、物が大量に残った状態で「売る」と決めるより、先に家財を整理しておいたほうが、その後の選択肢を考えやすくなります。

国土交通省も、空き家について「家財・荷物を片付けられない」ことが放置の理由の一つになっているとしています。

施設への入居と実家の処分は別々に考える

親が施設に入ることになると、

「これで実家も何とかしなきゃ」

と一気に問題が押し寄せてきたように感じるかもしれません。

でも、施設選びと実家の処分は、いったん分けて考えても大丈夫です。

まずは親が安心して生活できる場所を整える。

次に、施設に持っていく物を決める。

その後、実家に残った物を整理する。

そして、家を残すのか、売るのか、貸すのかを考える。

この順番で進めれば、すべてを一度に決める必要はありません。

また、施設そのものについても、入居前に契約内容を確認しておきましょう。

厚生労働省は、有料老人ホームについて、重要事項説明書や入居契約書などを確認し、費用、サービス内容、契約解除、前払金の返還などについて十分に説明を受けることを案内しています。

実家のことばかりに気を取られて、肝心の施設の契約内容を確認し忘れないようにしたいところです。

親が施設に入ることになったら、まずやること

親が施設に入ることになったら、最初から実家を売る必要はありません。

まずは親が施設へ持っていく物を整理し、重要書類や通帳、印鑑などを確認します。

そのうえで、実家を誰が管理するのかを決めます。

しばらく残すのであれば、定期的な管理が必要です。

今後使う予定がなければ、売却や賃貸、解体などを含めて家族で検討します。

そして、判断に迷ったら、一人で抱え込まないことです。

介護や親の生活については地域包括支援センター、家のことについては自治体の空き家相談窓口や不動産などの専門家に相談できます。

地域包括支援センターは、高齢者の総合相談や介護、生活上の支援などを行う地域の窓口です。

実家の問題は、親が施設に入った瞬間にすべて解決するわけではありません。

だからこそ、焦って全部決めるのではなく、

「親の生活」→「家の中の整理」→「実家の今後」

という順番で、一つずつ考えていきましょう。

施設に入ることは、親の暮らしが大きく変わるタイミングです。

実家についても、この機会に家族で少しずつ話し合っておけば、後になって慌てることを減らせます。

まずは「この家をこれからどうしたい?」と、親に聞いてみるところから始めてみましょう。

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