「実家の近くに住んでいるんだから、あなたが対応してよ」
兄弟から、こんなことを言われたことはありませんか?
親の通院、買い物、役所の手続き、急な呼び出し。実家から近いというだけで、気がつけば自分ばかりが対応するようになっている。遠くに住んでいる兄弟は、たまに電話で意見を言うだけ。それなのに、実際に動くのはいつも自分です。
ぶっちゃけ、近くに住んでいるからといって、仕事や家庭を犠牲にしてまで介護を引き受ける必要はありません。
大切なのは、感情的に拒否することではなく、できないことをはっきり伝え、兄弟にも具体的な役割を持ってもらうことです。
この記事では、「近くに住んでいるんだから」と介護を押しつけられたときの断り方や、兄弟に送れるLINEの文例、介護を一人に集中させないための分担方法を紹介します。
「近くに住んでいる人が介護する」は本当に当然なのか?
まず、ここを整理しておきましょう。
実家の近くに住んでいる人は、確かに親の様子を見に行きやすい立場です。急な用事にも対応しやすいかもしれません。
しかし、それと介護の大部分を引き受けることは別の話です。
近くに住んでいても、仕事があります。自分の子どもや配偶者との生活もあります。休日をすべて親のために使えるわけではありません。
一方、遠方に住んでいる兄弟にも、電話での連絡、費用の管理、サービスの手配、定期的な帰省など、できることはあります。
介護の分担は、住んでいる距離だけで決めるものではありません。
それぞれの仕事や家庭の事情、経済状況、対応できる時間などを踏まえて考える必要があります。

「近いから」という理由だけで全部引き受けない
たとえば、次のような状態になっていないでしょうか。
- 親の通院には毎回自分が付き添う
- 買い物や日用品の補充も自分が担当する
- 病院や介護施設からの連絡は自分に来る
- 役所の手続きも自分が行う
- 兄弟は必要なときに意見を言うだけ
こうした状態が続くと、介護をしている側だけが疲れてしまいます。
最初は「近いから仕方ない」と思っていても、一度引き受けた役割がいつの間にか当たり前になってしまうことがあります。
だからこそ、負担が大きくなる前に分担を見直すことが重要です。
兄弟に介護を押しつけられたときの断り方
いきなり「もう無理!」と伝えると、兄弟との関係が悪くなる可能性があります。
もちろん、限界まで我慢する必要もありません。
おすすめなのは、相手を責めるのではなく、自分が対応できる範囲を具体的に伝えることです。
1. 仕事を理由に、対応できる範囲を限定する
仕事がある人にとって、平日の通院や急な呼び出しは大きな負担です。
「近いんだから行けるでしょ」と言われても、仕事を休めるとは限りません。
この場合は、できないことを曖昧にせず伝えましょう。
LINEの文例
「実家が近いから対応しやすいと思われているかもしれないけど、こっちも仕事があるので、平日の通院や急な呼び出しに毎回対応するのは難しいです。今後は、誰が何を担当するのか一度決めたいです」
ポイントは、「忙しいから無理」とだけ伝えないことです。
今後の分担を決めたいと伝えることで、単なる拒否ではなく、現実的な相談に持ち込めます。
2. 「近くに住んでいるんだから」と言われたら、距離と負担は別だと伝える
兄弟から何度も「近いんだからお願い」と言われる場合は、少し踏み込んで伝えてもよいでしょう。
LINEの文例
「近くに住んでいるから、ちょっとした用事なら対応できることもあります。ただ、それを理由に介護全般を任されるのは困ります。距離が近いことと、時間に余裕があることは別なので、そちらにも具体的に分担してほしいです」
この伝え方なら、近くに住んでいること自体は否定せず、負担を一方的に押しつけられることを断れます。
3. 介護そのものを引き受けられないなら、最初にはっきり伝える
すでに仕事や家庭への影響が大きく、これ以上の介護を引き受けられない場合もあります。
その場合は、曖昧な返事を続けない方がよいでしょう。
LINEの文例
「今の生活状況では、これ以上、介護の対応を増やすことはできません。今まで対応してきたこともありますが、今後は同じようには動けません。介護サービスの利用も含めて、兄弟で分担を考えたいです」
「できるだけ頑張る」と言ってしまうと、結局これまでと同じ状態が続くかもしれません。
できないことは、できないと伝えて構いません。
介護を断るだけでは解決しない!兄弟に別の役割を持ってもらう
ここが重要です。
自分が介護を引き受けないと伝えたとしても、親の生活を支える必要がなくなるわけではありません。
そのため、兄弟に対して「自分はできない」と伝えるだけでなく、代わりに何を担当してもらうかを具体的に決めることが大切です。
遠方に住んでいる兄弟にもできることはある
たとえば、実家から遠く離れている兄弟でも、次のような役割は担当できます。
| 役割 | 担当内容の例 |
|---|---|
| 連絡担当 | 病院や介護事業者への電話、予定の確認 |
| 手続き担当 | 介護保険や行政サービスの情報収集 |
| 費用担当 | 親の介護費用の確認、支払いの整理 |
| 帰省担当 | 月に一度など、定期的に実家を訪問 |
| サービス調整 | 家事支援や介護サービスの比較・手配 |
もちろん、すべてを遠方の兄弟に任せられるわけではありません。
しかし、実際に現地へ行かなければできないことばかりではないのです。
「何か手伝って」ではなく、具体的に頼む
兄弟に協力を求めるとき、「もう少し手伝ってほしい」と伝えるだけでは、相手が何をすればよいのか分からないことがあります。
そこで、具体的な担当を指定してみましょう。
LINEの文例
「通院の付き添いを毎回するのは難しいので、次回から病院への予約確認と、診察後の薬の確認をお願いできないかな。こちらは必要なときに実家へ行くけれど、全部を一人で担当するのは難しいです」
また、費用の負担をお願いしたい場合は、次のように伝えられます。
LINEの文例
「実家へ行く交通費や日用品の購入など、細かい支出も積み重なっています。今後は親のために必要な費用を記録して、兄弟で確認できるようにしたいです。現地での対応が難しいなら、費用や手続きの面で協力してもらえないかな」
なお、兄弟間で介護費用を当然に均等負担しなければならないと決まっているわけではありません。親自身の収入や資産、家族それぞれの事情などを踏まえて話し合う必要があります。
兄弟が「自分は遠いから無理」と言ってきたら?
こちらが分担を求めると、今度は兄弟から「遠いから何もできない」と返されることもあります。
しかし、遠方だからといって、すべての役割を免れるわけではありません。
たとえば、次のように返してみましょう。
LINEの文例
「遠いから実家に頻繁に来られないのは分かっています。ただ、こちらも近いからといって、いつでも対応できるわけではありません。現地での対応が難しいなら、電話や手続き、費用の管理など、別の形で協力してほしいです」
ここで大切なのは、遠方に住む兄弟に同じ作業を求めるのではなく、できる役割を担当してもらうことです。
「来られないなら何もしなくていい」という状態にしてしまうと、結局、近くに住む人の負担だけが残ってしまいます。
兄弟で話し合っても決まらないときは、第三者を入れる
兄弟だけで話し合うと、過去の不満や親との関係まで持ち出され、話が進まなくなることがあります。
そんなときは、家族だけで解決しようとせず、第三者に相談する方法もあります。
地域包括支援センターに相談する
地域包括支援センターは、高齢者の介護や生活について相談できる窓口です。
親が住んでいる地域のセンターに相談すれば、介護保険サービスや利用できる支援について案内してもらえます。
兄弟間で介護の負担が偏っている場合も、今後どのような支援体制を作れるか相談してみましょう。
ケアマネジャーに家族の負担を伝える
すでに介護サービスを利用している場合は、担当のケアマネジャーに家族の負担を正直に伝えてください。
「近くに住む自分ばかりが対応している」
「仕事を休む回数が増えている」
「兄弟が遠方で、協力を得られていない」
こうした事情を伝えることで、介護サービスの内容や利用方法を見直せる場合があります。
家族が無理をしなければ続けられない介護計画になっていないか、一緒に考えてもらいましょう。
近くに住んでいるからこそ、最初にルールを決めておく
介護の負担が大きくなってから兄弟に分担を求めると、話し合いが難しくなることがあります。
できれば、次のようなルールを早めに決めておきたいところです。
- 緊急時に誰が対応するのか
- 通院の付き添いは誰が担当するのか
- 日常の買い物や家事はどうするのか
- 介護サービスの手配は誰が担当するのか
- 介護にかかる費用をどう管理するのか
- 定期的に兄弟で状況を共有するのか
特に、緊急時の対応は重要です。
「近くにいるから、何かあったら全部あなたに連絡する」という状態では、いつ呼び出されるか分からず、仕事や家庭の予定も立てにくくなります。
緊急連絡先や対応できる時間帯を整理し、必要に応じて介護サービスや地域の支援につなげておきましょう。
まとめ:近くに住んでいることを理由に、介護を一人で背負わなくていい
親の近くに住んでいると、どうしても頼られる機会が増えます。
しかし、近くに住んでいることと、介護をすべて引き受けられることは同じではありません。
仕事も家庭もある中で、毎回の通院や買い物、急な呼び出しに対応し続けるのは簡単なことではありません。
兄弟に対しては、できないことを曖昧にせず伝えましょう。そのうえで、遠方に住んでいる兄弟にも、連絡や手続き、費用の管理など、具体的な役割を担当してもらうことが大切です。
それでも話し合いが進まない場合は、地域包括支援センターやケアマネジャーなど、第三者の力を借りてください。
「近くに住んでいるんだから」という一言で、自分の生活をすべて介護に差し出す必要はありません。
親のことを大切にするためにも、まずは介護する側の生活を守る仕組みを作っていきましょう。

