ニセコで不明の男性死亡、コース外の罠「ツリーウェル」とは?

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14日午前、北海道ニセコ町の「ニセコモイワスキーリゾート」で、コース外(バックカントリー)に出たまま行方不明になっていた志和光国さん(46)が遺体で発見されました。

発見場所はコース外の川のそばで、雪をかぶった状態だったといいます。パウダースノーで世界中から愛されるニセコですが、その美しさの裏には、ベテランさえも一瞬で命を落とす「見えない罠」が潜んでいます。



1. 「雪をかぶった状態」が示唆する、パウダー特有の危険

報道にある「雪をかぶって倒れていた」という状況から、いくつかの危険なケースが推測されます。

  • 「ツリーウェル(Tree Well)」への転落: 積雪の多い木の根元付近は、枝が傘のようになって雪が積もらず、空洞(穴)ができやすくなります。ここへ頭から落ちると、周囲の粉雪が崩れて一瞬で生き埋めになり、窒息死するケースが後を絶ちません。

  • 小さな沢や亀裂への転落: ニセコの山中には小さな川や沢が点在しています。雪が積もるとそれらは完全に見えなくなります。志和さんが発見されたのは「川のそば」であり、こうした地形の凹凸に足を取られ、脱出不能になった可能性があります。

  • ホワイトアウトによる道迷い: ニセコは天候が急変しやすく、一瞬で視界が真っ白になる「ホワイトアウト」が頻発します。道に迷って体力を消耗し、低体温症で倒れた後に雪が降り積もったという状況も考えられます。


2. なぜ「コース外」に出てしまうのか?

志和さんは地元・ニセコの飲食店従業員であり、山には慣れていたはずでした。それでも起きてしまうのがコース外遭難の怖さです。

  • パウダースノーの誘惑: 誰も滑っていない新雪を求めてロープを越えてしまうケース。しかし、圧雪されていないエリアは「スキー場」ではなく、救助も管理も及ばない「冬山」そのものです。

  • 「ニセコルール」の重要性: ニセコには、安全のためにゲート以外からのコース外滑走を禁止する独自のルールがあります。しかし、モイワエリアなどの周辺部では、非公式のルートを通って深雪へ入ってしまう層が一定数存在します。


3. 【深掘り】雪山で命を分ける「15分」の壁

雪に埋まった状態(完全埋没)になった場合、生存確率は時間の経過とともに急激に低下します。

  • 生存のデッドライン: 埋没から15分以内であれば生存率は90%近いですが、45分を過ぎると25%以下まで落ち込みます。

  • セルフレスキューの限界: 一度雪に埋まると、自分ひとりの力で這い出すのは至難の業です。特にパウダースノーは「水」のように動きを封じ、もがけばもがくほど体は深く沈んでいきます。


4. 事故を防ぐために必要なこと

今回のような悲劇を繰り返さないために、バックカントリーを滑る際は以下の鉄則が求められます。

  1. 単独行動を避ける: 倒れた際にすぐ助けを呼べる仲間が必要です。

  2. 三種の神器(ビーコン・プローブ・ショベル)の携行: 埋まった仲間を探し、掘り出すための必須装備です。

  3. 地形の把握: 「ここは川がある」「ここは崖がある」という事前の知識が、ホワイトアウト時に命を救います。




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