2025年10月、自民党と公明党が26年ぶりに連立政権を解消しました。
一体なぜ公明党は連立を離脱したのでしょうか。
この問題の背景には、単なる政策の違いだけでなく、新しい自民党執行部への“不信感”と、政権運営に対する危機感があるとされています。
■ 連立離脱の「直接のきっかけ」
公明党が連立離脱を決めたのは10月10日。
自民党総裁に高市早苗氏が選出された4日後のことです。
高市氏が就任後、公明党本部を訪れた際、斉藤鉄夫代表らが以下の「3つの懸念」を伝えました。
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企業・団体献金の抜本的な規制強化
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靖国神社参拝などの歴史認識
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外国人政策(移民・入管関連)の方向性
この3点は、公明党とその支持母体である創価学会にとって非常に重要なテーマです。しかし、自民党はその後、1週間以上も具体的な回答を示さず。
幹事長の西田実仁氏はテレビ出演で、
「自民党側から水面下での働きかけが一切なかった」
と明かし、対話不足が決裂の大きな原因となったことを示唆しました。
■ 慢心とパイプの欠如 — 田﨑史郎氏の分析
政治ジャーナリストの田﨑史郎氏は「羽鳥慎一モーニングショー」で次のように指摘しました。
「今の自民党執行部には、公明とのパイプがほとんどない」
「公明党は何があってもついてくるという慢心があった」
過去26年間の連立では、公明党が対立しても最終的には妥協して与党に残る構図が続いていました。
それが今回、自民党が「大丈夫だろう」と高を括ったことで、決定的な溝ができたとみられています。
■ 高市総裁の“政治姿勢”にも不信感
一方で、元自民党幹事長で立憲民主党衆院議員の小沢一郎氏は、自身のYouTubeチャンネルで次のように語りました。
「高市総裁の責任が非常に大きい。彼女の考え方、発想、体質そのものに対する拒否感ですよ」
小沢氏が問題視したのは主に2点です。
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人事
裏金問題の中心人物とされた萩生田光一氏を幹事長代行に起用するなど、旧来型の政治を引きずる人事を行った点。 -
外交姿勢
高市氏の側近らが台湾を訪問し、双十節の式典に出席したこと。中国との関係悪化が懸念される中、「政治的感覚がない」と批判しました。
「他の野党だって高市くんの体質、考え方に誰もついて行けない」
公明党は外交・安全保障政策で「穏健派」とされ、中国との関係にも敏感です。高市氏の政治スタンスが連立維持のボトルネックになったとの見方が強まっています。
■ 公明党・創価学会の影響力
創価学会は、都市部の選挙区で強い動員力を持ち、長年自民党の勝利を支えてきました。特に接戦区では「公明票」が勝敗を左右することも珍しくありません。
田﨑氏はこの点を踏まえ、
「公明党や創価学会の大事さを感じていない人が多い」
と自民党執行部の“危うさ”を強調しました。
公明党にとっても、創価学会員の支持を失うことはできません。連立にとどまって高市政権を支えるよりも、「距離を取る方が支持者の納得を得られる」という判断に傾いたとみられています。
■ 政権運営への不安 — 小沢氏の警鐘
小沢氏は、今後の政局についても次のように語りました。
「野党がまとまらず、結果として高市くんが首班指名されたとしても、到底この国の政治の運営、統治はできない」
「自民党そのものが能力を失いつつあるというか、もう失っている」
連立解消は単なる「一時的な対立」ではなく、政権の根幹を揺るがす可能性を秘めています。
■ 今後の焦点:与党再編と選挙戦略
今回の連立離脱によって、今後の政治は大きく動く可能性があります。
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自民党は単独政権での運営か、新たな連立先を模索する必要がある
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公明党は野党との接近、あるいは独自路線強化の可能性
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次期衆院選で都市部の議席を自民党が失うリスクが高まる
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野党再編の動きが活発化する可能性も
《まとめ》公明党が連立を離脱した主な理由
理由 | 内容 |
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政策の溝 | 献金規制・靖国・外国人政策などで溝が深まった |
信頼関係の欠如 | 自民党の対応が遅れ、水面下交渉もゼロ |
高市政権への不信 | 人事・外交姿勢に強い拒否感 |
創価学会との関係 | 支持者の意向を重視した結果 |
選挙戦略上の判断 | 連立維持よりも距離を置く方が得策と判断 |
👉 「連立離脱 なぜ?」の答えは、単なる政策対立ではなく、
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信頼関係の崩壊
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高市政権への根本的な不信
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支持基盤との向き合い方
が重なった結果といえます。
次期衆院選、政界再編の可能性が高まる中、自民党と公明党の“26年連立”の終焉は、日本政治に大きな転換点をもたらすことになりそうです。