【不起訴処分】兵庫県知事選SNS運用をめぐり刑事告発されたPR会社社長がコメント発表 「誤解を招いたことを深く反省しています」

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国内ニュース

2024年の兵庫県知事選挙をめぐってSNS上の運用業務に関与していたPR会社「メルチュ」の社長が、刑事告発を受けていた件で不起訴処分となりました。

11月12日、社長は自身のSNSでコメントを発表し、「神戸地検より不起訴の判断が示されたことを確認いたしました」と報告しました。

その上で、「不正な対価の授受はもちろんのこと、いかなる不正行為の事実も断じてございません」と強調し、「誤解を招いたことを深く反省しております」と謝罪の言葉を述べました。



■ 兵庫県知事選とSNS運用の関係

今回の問題は、2023年に行われた兵庫県知事選挙の際に、候補者のSNS運用を支援していたとされる民間PR会社の活動をめぐって持ち上がりました。

選挙戦では、若者層を中心にSNSを使った情報発信が重視されるようになっており、候補者のイメージ作りや情報拡散に民間の専門会社が関わるケースが増えています。

の中で、特定候補に有利な発信が行われたのではないかという疑念が浮上し、「メルチュ」社が関与していたのではないかと一部で報じられました。

SNS上では、特定候補への好意的な投稿や、対立候補を批判するような意見が拡散していたこともあり、「企業ぐるみで印象操作をしているのではないか」といった指摘が寄せられていました。

メルチュ社は神戸市に本社を置くPR会社で、企業や自治体、個人事業主などに対してSNSマーケティングや広報支援を行ってきた会社です。

特に、地域ブランドの発信や若年層向けのデジタル戦略に強みを持つ企業として知られていました。

■ 告発から不起訴までの経緯

一部の市民団体は、こうしたSNS運用に「公職選挙法違反の可能性がある」として2024年にメルチュ社の社長を刑事告発しました。

告発を受けた神戸地検は、投稿内容や資金の流れなどを慎重に調べ、関係者への事情聴取を進めました。

しかし、最終的に「犯罪の成立を認めるに足る証拠がない」と判断し、2025年11月12日付で不起訴処分としました。

この決定により、刑事責任の追及は行われないことになりました。

■ 社長のコメント全文に込められた思い

社長は今回のコメントで、「この件により多くの皆さまにご心配とご迷惑をおかけしましたことを心からお詫び申し上げます」と謝罪の言葉を述べました。

また、「不正行為は一切ございませんが、私の発信により誤解を招いてしまったことを深く反省しています」と述べ、今回の出来事を「言葉の重みと責任を痛感する機会になった」と振り返りました。

さらに、「この一年間、捜査に協力しながらもクライアントの課題解決のために従業員とともに仕事に集中してきました」とし、支えてくれた人々への感謝も述べています。

「温かい言葉や励ましを寄せてくださった方々のおかげで前を向くことができた」と感謝の気持ちを繰り返し表していました。

沈黙を続けていた理由については、「弁護士に相談の上、発言を控えていた」と説明しています。

その間、SNSや一部報道で事実と異なる情報が拡散したことに心を痛めていたと明かしました。

■ SNS時代の選挙戦で問われる「発信の倫理」

今回の不起訴処分によって刑事的な責任は問われない形となりましたが、SNSを活用した政治広報のあり方については依然として議論が残ります。
SNS上の発信は、情報が瞬時に拡散する一方で、発信者の意図が誤解されやすいという特性があります。
特に選挙のように、候補者の評価やイメージが票に直結する場面では、わずかな表現の違いが大きな影響を及ぼすことがあります。

SNS運用を外部の専門会社に委託すること自体は違法ではありませんが、「誰が、どの立場で、どんな目的で発信しているのか」という透明性が求められる時代になっています。
今回の件は、政治とPRの境界線の曖昧さを改めて浮き彫りにしました。

広報業界の関係者の中には、「今回の件をきっかけに、政治案件のコンプライアンス体制を見直す動きが出るのではないか」と話す声もあります。
SNSマーケティングは選挙戦の必須ツールになりつつありますが、その裏側には倫理と信頼のバランスが常に問われています。

■ 広報業界への波紋と今後の課題

社長はコメントの最後で、「この経験から学び、人としても経営者としても成長し続け、信頼を回復してまいります」と述べています。
「どんな状況でも謙虚な気持ちと感謝を忘れず、誠実に歩みを進めていきます」と締めくくり、今後も社会との信頼関係を再構築していく姿勢を示しました。

この出来事は、ひとつの会社の問題にとどまらず、広報業界全体にとっての教訓とも言えます。
SNSの時代において、情報の発信者は常に「受け取る側がどう感じるか」を意識しなければなりません。
また、政治や選挙に関わる案件では、特に透明性と中立性が重視されるため、企業としてのガイドラインや内部統制の整備が今後より一層重要になっていくでしょう。

不起訴処分という結果を受けて、メルチュ社がどのように信頼を取り戻していくのかが注目されています。
一方で、SNSによる選挙支援の在り方そのものも、社会全体で見直す必要があるという指摘もあります。
情報発信が誰かの人生や選択に影響を与える可能性がある今、「発信の責任」という言葉の意味が改めて問われているのかもしれません。

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