【どう思う?】育休後に退職するのは?「制度にのっとっただけ」「これはずるい!」賛否分かれる!

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育休中に転職活動、復帰せず退職は制度の悪用か?

子どもが生まれた後も女性がキャリアを継続できるよう整備されてきた産休・育休制度。この制度を巡り、利用中に転職活動を行い、職場復帰せずに退職するケースについて、「これはずるいこと?」と賛否が大きく分かれる議論が巻き起こっています。読売新聞のユーザー投稿サイト「発言小町」に寄せられた投稿は、この問題のモラル制度の公平性について、社会に重い問いを投げかけています。

現在育休中のトピ主「名子」さんは、「現在の会社の福利厚生に不満はないが、キャリアチェンジしたい」という理由から、育休中に転職に役立つスキルを勉強し、復帰せずに退職することを心に決めたと投稿しました。

名子さんは、自身の行動について「自分の中で確定しています」としつつも、「法律上の問題はなくとも、(育休は)復帰前提の制度」「代わりの人を採用せず、私を待っていてくれた会社への罪悪感」「自分のような人が増えると後輩とかが育休を取りにくくなるのかな」と、複雑な胸の内を吐露しています。



厳しい批判が殺到:「モラルがない」「将来の女性の道を閉ざす」

名子さんの投稿には、80件以上のコメントが寄せられ、その多くは批判的な意見でした。「びっくりマーク」が1800回以上押されていることからも、この問題に対する関心の高さと、制度の悪用に対する強い反発が伺えます。

批判派の主な意見

  • モラルと倫理観の欠如:「率直な印象を問われたら、モラルがない人、ズルい人、将来の女性の道を閉ざす人という印象です」と指摘する声。育休が、キャリアを諦めた女性たちの努力で確立された「復帰前提のシステム」であることを強調しています。

  • 制度の悪用:「コンプラ(イアンス)重視のご時世に、育休もらい逃げ退職ねぇ」(「ねむの木」さん)や、「育児休業手当を満額もらい終えてから退職しても、あくまで権利を行使しているだけですから、皆さん問題ないですよね?……がトピ主さんの本心ですか」(「ザンパノ」さん)など、経済的なメリットだけを享受して辞める行為への批判。

  • 後続への迷惑:「育休使うだけ使って復職しないようなマナー違反ばかり増えると、今後ルール守って育休取りたい人たちにも大迷惑」(「M」さん)。個人の利己的な行動が、制度そのものへの不信感を生み、後輩や次に育休を取る人々の権利行使を困難にするという懸念です。

これらの批判は、育児休業制度が、企業と労働者の信頼関係、そして女性のキャリア継続という社会的な目的の上に成り立っているという認識に基づいています。法律で定められた権利とはいえ、それを信義則に反する形で利用することは、倫理的に許されないという厳しい見方です。


法的な権利と倫理観のジレンマ

育児休業法上、育休中に転職活動をしたり、育休終了直後に退職したりすること自体は、違法ではありません。労働者には職業選択の自由があり、退職の自由も認められています。育児休業給付金も、受給資格を満たしていれば、退職後に返還義務は生じません。

しかし、この行為は、法的な正しさ社会的な倫理観との間に、大きなジレンマを生じさせます。

企業側の実情

企業は、育休に入る社員に対して、代替要員の採用業務の引き継ぎにコストをかけています。多くの場合、社員の復帰を前提とし、正社員の欠員枠を空けたまま待機させています。育休終了直前の突然の退職は、企業にとっては想定外の採用活動業務の再編を強いることになり、多大な損害と負担となります。中小企業や人手不足の職場では、その打撃はより深刻です。

女性の労働問題専門家の見解

この問題について、女性の労働問題に詳しい専門家は、単なる個人批判に留まらない、制度設計の課題があることを指摘します。

専門家によると、名子さんのような行動が生まれる背景には、日本の流動性の低い労働市場と、育児と両立しにくい職場環境が根底にあります。

  • キャリアアップの機会:育休期間は、スキルアップや自己投資のための貴重な時間となる一方で、元の職場では希望するキャリアアップの機会職種の変更が難しいという現実があります。

  • 転職市場の優位性:育休中であっても、スキルアップを果たした人材が、より良い条件やキャリアを提供してくれる企業を見つけた場合、そちらを選ぶのは経済合理性から見れば自然な選択です。

  • 制度の穴:育休制度が「復帰を前提」としているにもかかわらず、復帰の意思がない場合のペナルティ給付金の返還規定が設けられていない点も、議論の焦点となります。

専門家は、批判的な意見が出るのは当然としつつも、「育休後も働きたい」と思える職場環境や、育休中の転職を前提とした新しい働き方を社会全体で認めるかどうかが、今後の議論の鍵となると述べています。


制度の持続可能性と未来への提言

今回の「育休もらい逃げ」問題は、個人の選択と、社会制度の持続可能性が衝突する典型的なケースです。

  • 個人への批判:モラルを欠く行為であるという批判はもっともですが、個人を責めるだけでは、問題の根本解決にはなりません。

  • 制度への提言:企業側が、育休中の社員に対してキャリアに関する対話を早期に行うことや、育休をキャリアの断絶ではなくキャリアの充電期間と位置づけるような、柔軟な制度設計が求められます。

最終的に、この問題は、「女性が子育てとキャリアを諦めずに両立できる社会」を実現するために、企業、個人、社会全体がどのように信頼と責任を構築していくかにかかっています。名子さんのような行動が増えることは、「育休制度」が悪用されるリスクを示す警鐘であり、制度の再設計を促す契機となるべきです。

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