2026年4月からスタート――新築住宅に“省エネ基準”が義務化へ。家を建てる人・工務店・不動産業界に何が変わる?

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2026年4月1日から、「建築物省エネ法」が改正され、新築や増改築を行う建築物について、省エネ基準に適合することが義務になります。これまで省エネ基準は“努力義務”や“説明義務”にとどまり、実際には「基準を満たしていない家」も多く存在していました。

しかし今回の改正で、住宅・オフィス・店舗など規模を問わず、原則すべての新築・増改築に省エネ性能が求められるようになります。「家の性能の底上げ」が本格的に法律で進む大きな転換点です。



■そもそも“省エネ基準”ってどんなもの?

省エネ基準とは、建物がどれくらい熱を逃しにくいか(断熱性能)や、どれくらい効率よくエネルギーを使えるか(設備性能)などを数値で示した国の基準です。

簡単に言えば、
「夏に涼しく・冬に暖かい家をつくるための最低ライン」
のようなものです。

具体的には、

  • 外壁や窓の断熱性能

  • 冷暖房・給湯設備の効率

  • 換気設備の性能
    などがチェック対象になります。

基準を満たした家は、冷暖房効率が良くなり、光熱費の節約にもつながります。

■なぜ義務化されるのか

背景には次の3つがあります。

●(1)エネルギー価格の高騰

電気代の上昇で、住宅の省エネ性能は暮らしの負担に直結するようになりました。
「性能の低い家=毎月の電気代が高くつく家」という状況が問題視されています。

●(2)温室効果ガス削減のため

日本は2030年までに温室効果ガス46%減を掲げています。
家庭のエネルギー消費は大きいため、住宅の省エネ化は必須とされてきました。

●(3)海外と比べて日本の住宅性能が低い

断熱性能では欧米に大きく後れを取っており、
「冬に家の中でも寒い」
「築年数が浅くても結露がひどい」
などの問題が起こりやすいのが日本の現状。

今回の義務化は、この遅れを一気に取り戻す狙いがあります。

■家を建てる人にはどんな影響がある?

●メリット

  • 冷暖房費が抑えられる

  • 夏冬の体感温度が改善

  • 結露やカビが発生しにくくなる

  • 住宅の資産価値が安定しやすい

「性能の低い家をつかまされる」リスクが減る点は、購入者にとって大きなメリットです。

●デメリット(=気になる点)

  • 建築費が上がる可能性がある
    断熱材の追加、窓の高性能化などで、数十万円〜100万円ほどアップするケースも想定されています。

  • 工務店の対応力に差が出る
    慣れていない事業者はコストや工期が読みにくくなることもあります。

■工務店・建設会社はどう変わる?

中小工務店にとって、今回の義務化は負担が大きくなる側面もあります。

●必要になる対応

  • 省エネ性能を計算するスキルの習得

  • 高性能な建材・設備への切り替え

  • 契約前の説明の充実

  • 申請手続きの増加

特に「省エネ計算」は専門知識を要し、外部委託すればコスト増にもつながります。

■既存住宅には影響ある?

既に建っている住宅は今回の義務化の対象外です。
ただし将来、売却や賃貸に出す際には「性能の低い家は選ばれにくい」状況が強まる可能性があります。

これにより、リフォーム市場での断熱改修や省エネ設備の需要は確実に増えるとみられています。


■不動産業界の変化

  • 省エネ性能の“見える化”が進む

  • 高性能住宅を売りにした建売が増える

  • 賃貸物件でも断熱性能が重視されるようになる

物件を選ぶ際の基準が、「間取り」や「立地」だけでなく「光熱費の安さ」「住み心地」の方向に広がっていくことが想定されています。


■消費者は何を意識すればいい?

●(1)家を建てるなら「性能の根拠」を確認

  • 断熱等級

  • U値・η値

  • 省エネ計算結果
    など、数値で示せる業者を選ぶことが重要です。

●(2)建売住宅でも性能表示を見る

2026年以降は低性能な建売は減るものの、「どのレベルまで対応しているのか」は必ずチェックしましょう。


■まとめ

2026年4月の省エネ基準義務化は、家づくりと暮らしの質に大きく影響する転換点になります。

  • 性能の高い家がスタンダードになる

  • 光熱費対策としても重要

  • 工務店の技術力がより明確に問われる

  • 消費者は“数値で確認する”時代へ

これから家を建てる人、住宅購入を考えている人は、今回の改正が自分の計画にどう影響するのかを早めにチェックしておくことをおすすめします。

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