自民党新総裁となった高市早苗氏の人事をめぐり、立憲民主党の本庄知史政調会長が放った「麻生家に嫁入り」という発言が大きな波紋を呼んでいます。
SNS上では「女性蔑視ではないか」という批判が相次ぎ、翌9日、本庄氏は釈明コメントを出す事態となりました。
発言の背景には、自民党内の権力構造を皮肉る意図があったとみられますが、表現の不適切さが強く批判され、火消しは容易ではなさそうです。
■ 高市新体制に「麻生家に嫁入り」発言
発言が飛び出したのは8日、立憲民主党の定例会見の場でした。
本庄氏は、自民党の新執行部人事について、
「麻生家に嫁入りした高市さんというような絵でしたよ。
両脇に麻生さん(副総裁)、鈴木(俊一幹事長)さんというご親戚の2人がおられて、
そして可愛がられた小林(鷹之)さんが政調会長で、何ともいえない絵だなと思いました。
絵に描いたようなかいらい人事で本当にひどい」
と発言。
ここで言う「麻生家」とは、副総裁の麻生太郎氏の派閥を指すとみられています。
この言葉が報道・SNSで広まると、瞬く間に「女性蔑視だ」と批判が殺到しました。
■ SNSでは「失言」認定、怒りの声も
SNS上では、「麻生家に嫁入り」という言い回しに対し、多くのユーザーから疑問と怒りの声があがりました。
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「女性総裁に対して『嫁入り』っていうのは明らかにアウト」
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「派閥構造の皮肉なら、別の言い方があったはず」
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「野党がこういう発言をするのは失望しかない」
といったコメントが並び、発言の真意よりも「表現そのもの」が強く問題視される形になっています。
本庄氏は党の政調会長という要職にあり、発言の影響力は決して小さくありません。
■ 9日、本庄氏が釈明「古い頭だったのかな」
9日、報道陣に囲まれた本庄氏は、自身の発言について釈明しました。
「古い頭だったのかな。古い自民党を見るにつけ、ついつい古い言葉を使ってしまった」
と述べ、「不適切という意見があるなら受け止めたい」とコメント。
ただし、撤回や訂正には踏み込まず、
「ほかにどういう言葉があるのか。いい言葉があれば訂正したい。ぜひ教えていただきたい」
と“半歩引いた”ような対応にとどめました。
■ 発言の背景に「麻生派支配」への皮肉
本庄氏の発言には、政治的な背景があります。
今回の人事で、自民党の主要ポストには麻生派の有力者が並びました。
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幹事長:鈴木俊一氏(麻生派)
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政調会長:小林鷹之氏(麻生派)
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副総裁:麻生太郎氏(麻生派の領袖)
つまり、派閥バランスから見れば「麻生派主導」の布陣です。
本庄氏はこれを「嫁入り」という比喩で皮肉った形になりますが、性別に紐づく表現を選んだことで、「ジェンダー感覚の欠如」と批判を招きました。
■ ジェンダー問題に敏感な時代に「言葉の重さ」
近年、政治の世界ではジェンダー・表現に対する社会の感度が高まっています。
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「女性活躍」の看板政策を掲げる政党が多い
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性別役割を前提にした言い回しへの批判が強い
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過去の失言が政治生命を脅かすケースも
こうした時代背景の中で「嫁入り」という発言は極めてセンシティブ。
本庄氏の真意がどうであれ、「時代錯誤」と捉えられるリスクを十分に想定すべきだったという声が与野党双方から上がっています。
■ 高市氏本人はコメントせず
高市早苗氏本人は、9日時点でこの発言についてコメントしていません。
ただし、与党内では
「女性初の総裁に対する発言として看過できない」
「政治的な皮肉に女性蔑視が混ざるのは野党としてもマイナスだろう」
といった声も出ており、今後さらに波紋が広がる可能性もあります。
■ 立憲の対応も焦点に
今回の発言は、野党第1党の幹部によるものであるため、党としての対応も注目されています。
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党が公式に謝罪または釈明をするのか
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本庄氏に対してどのような処分・指導が行われるのか
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ジェンダー意識の見直しを組織的に進めるのか
これまでにも立憲民主党内では発言のトーンが問題になるケースがあり、「言葉の管理」に対する姿勢が問われる局面といえます。
■ 与野党関係に影響も
高市政権がスタートしたばかりのタイミングで起きた今回の「嫁入り」発言。
本来ならば政策論争が注目されるはずの政局序盤で、野党幹部の失言が話題の中心になってしまった形です。
政権批判の機運を自ら削ぐ結果となれば、与野党関係の力学にも影響を与えかねません。
【まとめ】
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本庄知史氏が「麻生家に嫁入り」と発言 → 炎上
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「女性蔑視ではないか」とSNSで批判殺到
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本庄氏は「古い頭だった」と釈明、撤回はせず
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背景には麻生派主導人事への皮肉
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時代錯誤な表現にジェンダー問題の視点から批判強まる
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