首都高速湾岸線で、時速およそ268キロという常軌を逸した速度でポルシェを走行させ、前を走っていた車に追突。乗っていた夫婦2人が死亡した事故から6年。横浜地裁は、ポルシェを運転していた彦田嘉之被告(56)に対し、危険運転致死罪で懲役12年の判決を言い渡しました。
裁判では、危険運転致死にあたるかどうかが大きな争点となっていましたが、裁判所は「制御が困難な超高速度」「常軌を逸した悪質な運転」と認定。過失ではなく、危険運転と判断しました。
この事故はなぜここまで重大に扱われ、どのような経緯で判決に至ったのでしょうか。事故の概要、被告のプロフィール、そして危険運転と認定された理由を整理します。
何が起きたのか
事故が起きたのは2020年8月。場所は首都高速湾岸線、東扇島インターチェンジ付近でした。
当時、彦田被告が運転していた高級外車ポルシェは、時速最大268キロという速度で走行。前方を走っていた乗用車に追突しました。
この事故で、乗用車に乗っていた
内山仁さん(当時70)
内山美由紀さん(当時63)
の夫婦2人が死亡しました。
高速道路とはいえ、制限速度をはるかに超える異常な速度での走行でした。
彦田嘉之被告のプロフィール
彦田嘉之被告は56歳。高性能スポーツカーであるポルシェを所有し、日常的に運転していました。
これまでの裁判で彦田被告は、
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時速200キロ以上で走行したことが5、6回ある
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危険性をそれほど強く認識していなかった
と話していました。
また、「隣の車線に割り込むなど妨害目的で走行したというのは考えられない」とも供述しています。
一方で検察は、彦田被告が隣を走るトラックの走行を妨げる目的で、車線を独占するかのような走り方をしていたと指摘しました。
事故の詳細
検察側の主張によると、彦田被告は猛烈な高速度で走行し、車線を自分だけのもののように使っていたとされます。
その結果、前方車両への対応が間に合わず、追突事故が発生しました。
裁判では、この速度が「制御困難な速度」にあたるかどうかが最大の争点となりました。
単なるスピード違反ではなく、事故を起こせば死亡事故につながることが容易に想像できる速度だったかどうかが問われたのです。
なぜ危険運転と認定されたのか
危険運転致死罪は、適用のハードルが高いことで知られています。
単にスピードを出していた、注意不足だった、というだけでは適用されません。
今回、横浜地裁は次のように指摘しました。
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一度事故を起こせば人を死亡させる危険性が極めて高い速度
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常軌を逸した超高速度
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自身の運転技術を過信していた
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危険意識が低下し、自己中心的な運転態度
これらを総合的に判断し、過失ではなく危険運転致死罪を適用しました。
検察と弁護側の主張
検察は懲役15年を求刑しました。
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車線を独占するような走行
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常軌を逸する危険な運転
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極めて悪質な態様
これに対し弁護側は、あくまで過失運転致死にとどまると主張し、起訴内容を否認していました。
しかし裁判所は検察側の主張をおおむね認める形となりました。
社会に与えた影響
この事故は、単なるスピード違反による事故ではなく、「危険運転」がどこまで適用されるのかという議論を呼びました。
危険運転致死傷罪は、これまで「基準があいまい」と指摘されることもあり、数値基準の導入が検討されるきっかけにもなっています。
遺族の思いとともに、法律の運用にも影響を与えた事故といえます。
今後どうなるのか
懲役12年の判決が言い渡されましたが、今後控訴するかどうかが焦点となります。
また、この判決は今後の危険運転の判断基準にも影響を与える可能性があります。
異常な速度での運転が、どのように司法で評価されるのか。今回の判決は、その一つの基準を示した形になりました。
まとめ
時速268キロという想像を超える速度。
その結果、2人の命が奪われました。
横浜地裁は、これを単なる過失ではなく、危険運転と明確に認定しました。
✔ 制御困難な超高速度
✔ 運転技術の過信
✔ 極めて悪質な運転態様
これらが懲役12年という判決につながりました。
この事故は、スピードの危険性とともに、危険運転致死罪のあり方を社会に問いかけています。今後の司法判断や法整備にも注目が集まります。

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