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ユニクロのキャッシュレス決済「UNIQLO Pay」終了へ 背景と今後の影響を徹底解説

2025年9月19日、ファッション大手ユニクロは独自のキャッシュレス決済サービス「UNIQLO Pay(ユニクロペイ)」を終了することを発表しました。2021年にスタートしたサービスはわずか5年で幕を閉じることになります。なぜユニクロは自社決済をやめる決断をしたのか。そして、顧客の購買体験や今後のユニクロのデジタル戦略にどのような影響を与えるのでしょうか。本記事では、その背景と今後の展望を整理していきます。



「UNIQLO Pay」とは何だったのか

ユニクロペイは2021年に導入された独自のキャッシュレス決済サービスです。ユニクロの公式アプリと連動し、登録した銀行口座から直接代金が引き落とされる仕組みで、「アプリ一つで買い物が完結する」というシンプルさが売りでした。

導入当初、ユニクロは「より便利でスムーズな購買体験を提供する」とアピール。QRコード決済やクレジットカードに比べ、銀行口座直結というシステムは新鮮さがありました。ユニクロアプリを頻繁に利用するユーザーにとっては、ブランド独自のエコシステムとして期待が寄せられていたのです。

サービス終了のスケジュール

ユニクロは以下のスケジュールを発表しています。

この期間をもってユニクロペイは完全に終了します。現時点で後継となる新しい決済サービスの導入は未定とされています。

なぜ終了するのか?背景を読み解く

① キャッシュレス決済市場の急速な多様化

ユニクロペイ開始当初は、QRコード決済の普及が急速に進んでいた時期でした。しかしその後、PayPay、LINE Pay、楽天ペイ、d払いなどの大手サービスが生活に定着。さらにApple PayやGoogle Payといったスマホ決済、従来のクレジットカードも依然として強力です。

顧客にとって「決済手段が多すぎる」状態となり、ユニクロ独自の決済サービスをわざわざ利用する動機は薄れていきました。

② 利用状況の低迷

公式発表でも「昨今のユニクロペイの利用状況を踏まえた」と説明されています。つまり、想定以上に利用が伸びなかったと考えられます。顧客の多くは既に持っている決済アプリやクレジットカードを使い続けており、ユニクロペイを“わざわざ導入する理由”が見いだせなかったのです。

③ 運用コストとセキュリティリスク

独自決済を運営するには、システム維持やセキュリティ対策に相当のコストがかかります。サイバー攻撃や不正利用のリスク管理も必要です。利用者数が伸び悩む中でこれらのコストを負担し続けるのは効率的ではない、という経営判断があったとみられます。

顧客への影響は?

利便性の低下は限定的

ユニクロペイの利用者にとっては確かに不便になります。しかし、ユニクロ店舗ではすでに主要なQRコード決済やクレジットカードが広く使えます。そのため「ユニクロで買い物ができなくなる」ということはありません。

アプリ活用の行方

ユニクロはアプリを購買体験の中心に据えてきました。アプリからオンライン注文、店舗受け取り、会員証提示などができ、ペイ機能もその一部でした。今後はアプリにおける「決済機能」は縮小されますが、顧客接点としてのアプリの重要性は維持されるでしょう。

今後どうなっていくのか

① 外部決済サービスとの連携強化

ユニクロペイ終了は「撤退」ではなく「選択と集中」です。今後はPayPayや楽天ペイなど大手決済サービスとの連携をより強化する方向に進む可能性が高いでしょう。ユニクロが自前で抱え込むよりも、利用者がすでに慣れ親しんだ決済手段を最大限に取り入れる方が合理的です。

② ユニクロのデジタル戦略再編

ユニクロは近年「LifeWear」というブランドコンセプトのもと、テクノロジーを活用した購買体験の向上に力を入れています。セルフレジやオンラインと店舗のシームレスな連携など、買い物体験全体をアップデートしてきました。今後は「独自決済」ではなく、AIを使ったパーソナライズ提案や、在庫連動型のスマートショッピングなど、別の分野でデジタル戦略を強化していくと予想されます。

③ キャッシュレスの新局面へ

ユニクロの決断は「キャッシュレス戦国時代」の一つの帰結ともいえます。乱立した独自決済サービスは淘汰が進み、ユーザーに選ばれる一部の大手に収束していく流れが見えてきました。ユニクロの撤退は、その流れを象徴する出来事といえるでしょう。

まとめ

ユニクロペイの終了は、利用者にとって大きな混乱を招くものではありません。しかし、このニュースが示すのは「独自決済の難しさ」と「キャッシュレス市場の成熟」です。

ユニクロは常に変化を恐れず、グローバルな競争に挑んできた企業です。今回の撤退も「失敗」ではなく「次のステップへの再編」と捉えるべきでしょう。

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