2025年10月5日、岐阜県白川村の世界遺産・白川郷で、スペイン国籍の40代男性観光客がツキノワグマの子グマに襲われ、右腕に軽傷を負う事件が発生しました。男性は現場での応急処置の後、命に別状はありません。
事件は午前8時半ごろ、男性が別の同国籍の男性とともに散策中、展望台行きシャトルバス乗り場付近の草むらから現れた子グマに背後から襲われたものです。現場周辺には柿の木があり、クマが餌を求めて山から降りてきた可能性があります。
白川村では警察や猟友会と連携し、クマの捜索と安全対策を進めています。また、シャトルバスは運休し、周辺の村道や遊歩道も通行止めとなっています。
■ 白川郷の観光産業への影響は?
白川郷は世界遺産として国内外から多くの観光客が訪れる人気の観光地です。今回の事件で、外国人観光客が実際に襲われた事例として報じられたことで、安全性への懸念が一層高まっています。
観光業界では、こうした事故が報道されることにより、観光客の心理的なハードルが上がる可能性があります。特に、秋の観光シーズンに向けたインバウンド需要や地域経済への影響も無視できません。
今後は、安全管理の強化や動物との共生を意識した観光戦略が求められています。地域住民、観光業者、行政が一体となり、クマ出没時の情報提供や避難ルートの整備など、安心して観光できる環境作りが急務です。
■ クマ出没の背景と今後の課題
白川村では、今年4月以降、クマの目撃情報が例年の3倍近く寄せられています。これは、秋の実りの時期にクマが餌を求めて活動範囲を広げていることが一因とみられます。
観光地としての白川郷では、自然との共生を考慮しつつ、観光客の安全確保と地域経済の両立が課題です。今後、情報発信の迅速化や危険エリアの明確化など、持続可能な観光地運営が重要となります。