東京・赤坂の個室サウナで夫婦が死亡した凄惨な火災。最新の捜査で、生死を分けるはずの「非常ボタン」が、事務室側の受信盤の電源が切れていたために一切作動しなかった疑いが浮上しました。夫婦は密室の中でボタンを押し続けたのか。極限状態での「SOSの黙殺」という、ずさんな安全管理の実態が明らかになりつつあります。
オーナーの「触ったことがない」という無責任!壊れていたカバーの謎
捜査関係者によると、店のオーナーは受信盤の電源について「触ったことがない」と供述しているといいます。しかし、非常ボタンを保護するはずのカバーは損壊しており、日常的な点検が行われていなかったことは明白です。
大手が報じない「個室サウナ特有の盲点」は、プライバシー重視の裏側にある「監視の空白」です。一般的な大浴場と異なり、個室サウナは利用客の異変にスタッフが気づきにくい構造になっています。その唯一の命綱である非常ボタンが機能していなかった事実は、もはや事故ではなく「人災」の側面を強く帯びています。
取っ手が外れた!「脱出不可能」なサウナ室が処刑場と化したのか?
さらに衝撃的なのは、3階の個室の扉から「取っ手」がいずれも外れていたという事実です。猛煙と熱気の中、夫婦は入り口付近で倒れていました。パニック状態でドアを開けようとした際、取っ手が外れて閉じ込められたのか。あるいは熱による膨張で開かなくなったのか。
「焦げたタオル」が火元とみられていますが、本来、サウナ室は燃えにくい素材や防火対策が義務付けられているはずです。なぜ、背もたれや座面まで焼けるほどの火勢になったのか。内装材の防炎性能や、個室サウナという「狭小空間」ゆえの急速なフラッシュオーバー(爆発的延焼)のリスクについても、今後厳しく追及されるべき点です。
死因「不詳」が語る遺体の状況…一酸化炭素中毒か、それとも?
司法解剖の結果、驚くべきことに夫婦の死因は「不詳」とされました。通常、火災であれば焼死や煙の吸引による一酸化炭素中毒が疑われますが、特定に至らないほど遺体の状況が特殊であったか、あるいは気化ガスによる急激な昏睡が起きた可能性も否定できません。
サウナ室内という高温多湿な環境下での火災は、通常の建物火災とは異なる毒性ガスを発生させる恐れがあります。特定を急ぐ警視庁の動きは、この火災が単なる火遊びや不注意ではなく、設備の欠陥による「密室殺人」に近い事態であったことを示唆しています。
「ブームの裏側」で放置される安全基準!あなたの行く店は大丈夫?
近年のサウナブームにより、赤坂のような都心の雑居ビルには個室サウナが乱立しています。しかし、その多くが既存の建物を無理やり改装したもので、消防設備の維持管理が追いついていない実態があります。
今回の「電源切れ」と「取っ手外れ」という二重の不備は、他の店舗でも起こり得る構造的な問題です。行政による一斉点検は不可避ですが、利用者が「この店は本当に安全か?」と疑わなければならない現状こそが、このブームの最大の危機と言えるでしょう。
