親の家に行くたび、同じ洗剤や健康食品、日用品が何個も置いてある。聞いてみると「そんなに買った覚えはない」「安かったから注文した」と言われる。そんな状況に気づくと、心配になりますよね。
ただ、いきなり「もう通販は禁止」と伝えるのは逆効果になりかねません。本人にとっては便利な買い物手段ですし、楽しみの一つになっている場合もあります。
大切なのは、買い物を一方的に取り上げることではなく、なぜ同じ商品が増えているのかを確かめ、本人の生活を守りながら注文の重複や思わぬ出費を減らすことです。この記事では、離れて暮らす家族でもできる確認方法と、定期購入や請求トラブルを防ぐための対策を紹介します。
同じ商品を何度も買うのはなぜ?
同じ商品が何個も届いているからといって、すぐに認知症だと決めつけることはできません。原因はいくつか考えられます。
例えば、以前注文したことを忘れて、もう一度注文してしまうケースです。本人は必要だから買ったつもりでも、実際には家に在庫が残っていることがあります。
また、テレビ通販やネット通販の割引、まとめ買いの案内を見て、今のうちに買っておこうと考えることもあります。定期購入の仕組みを十分に理解しないまま申し込んでいる場合や、注文完了の画面が分かりにくく、手続きが済んだか不安になって再注文する場合も考えられます。
まずは、親を責めずに「これ、たくさん届いているね。いつ注文したもの?」と聞いてみましょう。
大切なのは、本人が注文したことを覚えているか、注文方法に困っていないか、支払いを把握できているかを確認することです。以前はなかった買い方の変化が急に増えた場合は、ほかにも物忘れや生活上の変化がないか、注意して見ておきましょう。
最初に確認したいのは、商品の数より注文と支払い
実家で同じ商品を見つけたら、まずは何がどのくらい届いているのかを確認します。洗剤やトイレットペーパーなど、保管しておける日用品であれば、余分にあっても直ちに問題になるとは限りません。
一方、食品や健康食品、使用期限のある商品は、量が増えすぎると使い切れなかったり、期限を過ぎたりする可能性があります。
確認したいのは、次の3点です。
- 同じ商品が何個あるか、使い切れる量か
- 注文履歴や購入明細で、いつ・どこから購入したか
- クレジットカードや口座の明細に、身に覚えのない請求や繰り返しの請求がないか
通販サイトを利用しているなら、親本人に画面を見せてもらい、注文履歴を一緒に確認します。ログイン情報や決済情報を扱うときは、本人の同意を得て進めましょう。家族だからといって、無断でアカウントに入ったり、カードを取り上げたりするのは避けたいところです。
もし注文した覚えのない商品が届いている、定期的な請求が続いている、契約内容が分からないといった場合は、販売業者に契約内容を確認してください。困ったときは、消費者ホットライン「188」に相談する方法もあります。
親に通販をやめてもらうより、重複注文を防ぐ仕組みをつくる
同じ商品が増えるたびに注意していると、親子ともに疲れてしまいます。そこで、注文する前に在庫を確認できる仕組みをつくりましょう。
例えば、洗剤やティッシュなどの定番品は、収納場所を一か所にまとめます。残りが少なくなったら買う、というルールを親子で決めておけば、必要以上に買い足すことを減らせます。
通販をよく利用する親なら、注文した日と商品名をカレンダーやメモに残す方法もあります。スマートフォンの操作が難しい場合は、紙に書くだけでも構いません。
定期購入を利用している場合は、商品が届く間隔、次回の発送日、解約条件を一緒に確認します。本人が契約内容を把握していないようなら、必要性を改めて話し合いましょう。ただし、本人が納得して利用しているサービスを、家族の判断だけで勝手に解約するのは避けてください。
また、通販の楽しみまで奪わないことも大切です。「買わないで」だけではなく、「家にある分を使ってから次を頼もう」「次に買うものを一緒に確認しよう」と伝えると、話し合いやすくなります。
注文の重複が急に増えたら、物忘れや判断力の変化にも目を向ける
以前は問題なく買い物をしていたのに、最近になって同じ商品を何度も注文する、請求額を把握できない、契約内容を理解できないといった変化が目立つ場合は、単なる買いすぎとして片づけないほうがよいでしょう。
もちろん、通販の重複注文だけで病気を判断することはできません。ただ、日常生活での変化がほかにも見られるなら、かかりつけ医や地域包括支援センターに相談するきっかけになります。
離れて暮らしている場合は、帰省したときに家の中の在庫や郵便物、支払いの様子を確認するだけでも、変化に気づく手がかりになります。親が相談を嫌がる場合は、まず「通販をやめさせたい」ではなく、「困っていることがないか一緒に確認したい」という姿勢で話してみましょう。
家族だけで管理しきれないときは、外部の相談先も頼る
注文が重複するだけでなく、未払いの請求書が増えている、契約内容が分からない、訪問販売や電話勧誘でも困っているといった場合は、家族だけで解決しようとしないことも大切です。
消費者トラブルについては、消費者ホットライン「188」で地域の消費生活相談窓口につながります。生活全般の変化や見守りに不安がある場合は、地域包括支援センターに相談できます。
もし、同じ商品を買い続ける背景に、物忘れや日々の生活の難しさがありそうなら、買い物の管理だけでなく、食事や服薬、金銭管理なども含めて様子を見ていくとよいでしょう。
まとめ:通販を禁止する前に、親が安心して買い物できる方法を考える
親の家に同じ商品が何個も増えていると、無駄遣いや物忘れが心配になるものです。しかし、頭ごなしに通販を禁止してしまうと、親子の関係がこじれたり、困っていることを話してくれなくなったりする可能性もあります。
まずは商品の在庫、注文履歴、支払いを一緒に確認し、重複注文を防ぐ仕組みをつくりましょう。定期購入や身に覚えのない請求があれば販売業者や消費生活相談窓口に確認し、生活全体に変化が見られるなら、医療機関や地域包括支援センターへの相談も検討してください。
目指したいのは、親の楽しみを取り上げることではなく、必要なものを安心して購入できる状態を保つことです。家族だけで抱え込まず、できるところから一つずつ整えていきましょう。

