親が施設に入ることになり、実家を片付けることになった。
そこで最初に困るのが、大きな家具です。
タンス、食器棚、ベッド、ソファ、テーブル、テレビ台……。長年暮らしてきた家には、思っている以上にたくさんの家具があります。
しかも、自分の家なら「いらないから捨てよう」と決められても、親の家となると簡単にはいきません。
まだ使えるものもありますし、思い出の品が入っていることもあります。家具の中から通帳や書類が出てくることもあるため、いきなり業者を呼んで全部処分するのはおすすめできません。
では、実家の大量の家具は、どこから手を付ければいいのでしょうか。
まずは「捨てる家具」を決める前に家の中を確認する
実家の片付けで最初にやりたいのは、家具を捨てることではありません。
まずは、家の中に何が残っているのかを確認します。
特に注意したいのが、タンスや棚の中です。
家具そのものは不要に見えても、中に重要な書類や通帳、印鑑、保険関係の書類などが入っている可能性があります。
また、親本人が「これは残しておいて」と考えているものもあるかもしれません。
施設に入ったからといって、家にあるものがすべて不要になるわけではありません。
最初は「処分する」よりも、「残す」「処分する」「まだ分からない」の3つくらいに分けておくと進めやすくなります。
迷うものは無理に決めなくても大丈夫です。
実家の片付けは、一度に全部終わらせる必要はありません。
大型家具は「自治体の粗大ごみ」が基本になる
処分すると決めた家具の中で、まず確認したいのが自治体の粗大ごみです。
タンスや食器棚、ソファ、ベッドなどは、自治体によって粗大ごみとして回収してもらえる場合があります。
ただし、対象になる大きさや料金、申し込み方法、回収場所などは自治体によって違います。
「大きな家具だから、とりあえず不用品回収業者に頼む」という必要はありません。
自治体の粗大ごみで処分できるものなら、まず自治体のルールを確認してみましょう。
一方で、家具が大量にある場合や、家から運び出すこと自体が難しい場合は、自治体の粗大ごみだけでは対応しにくいこともあります。
実家の状況によって、別の方法を考える必要があります。
まだ使える家具なら「捨てない」という選択肢もある
家具を見ていると、「これはまだ使えるのでは?」というものが出てくることがあります。
比較的新しい家具や状態の良い家具なら、売却や譲渡を検討してもいいでしょう。
ただし、ここで注意したいのが「売れるかどうか」です。
大きな家具は、状態が良くても運搬の問題があります。
買い取り業者に査定してもらっても、搬出や運搬の条件によっては買い取り対象にならないこともあります。
そのため、「高く売れるはず」と考えて片付けを止めてしまうより、売却できそうなものだけ先に確認し、難しいものは別の方法で処分するほうが片付けは進みやすくなります。
また、家具だけでなく、まだ使える家電や生活用品についても、売却・譲渡という選択肢があります。
「全部捨てる」か「全部売る」かの二択ではなく、使えるものだけ別にするくらいの考え方で十分です。
大型家具が多すぎるなら、業者に依頼する方法もある
実家の片付けで大変なのが、家具を運び出す作業です。
タンスや食器棚、ベッドなどはかなり重く、家族だけで運ぶのは簡単ではありません。
特に親が高齢で一人暮らしをしていた家では、家具が何十年もそのままになっていることもあります。
その場合は、不用品回収や片付けを行う業者に依頼する方法もあります。
ただし、ここは業者選びに注意したいところです。
家庭から出るごみについては、市区町村のルールに従って処分する必要があります。環境省も、家庭の粗大ごみなどについて、自治体が案内する方法で処分するよう呼びかけています。無許可の回収業者を利用しないよう注意もされています。
「無料で全部回収します」と書かれているからといって、すぐに依頼するのではなく、どのような許可・委託のもとで家庭ごみを処分するのかを確認したほうが安心です。
また、料金についても、作業前に確認しておきましょう。
「家具を何点処分するのか」「搬出作業も含まれるのか」「追加料金が発生する条件は何か」などを確認してから依頼すると、後から話が違うというトラブルを避けやすくなります。
「全部処分」より先に、残すものを決める
実家の片付けをしていると、「こんなに物があったのか」と驚くことがあります。
そこで一気に処分したくなるかもしれません。
しかし、家具を処分した後になって、「あのタンスに入っていたものが必要だった」「親が大切にしていたものだった」と分かると、取り戻すことはできません。
だからこそ、処分するものよりも、先に残すものを決めておくことが大切です。
たとえば、
- 通帳や印鑑
- 保険や年金関係の書類
- 不動産関係の書類
- 写真やアルバム
- 親が大切にしている思い出の品
- 今後使う可能性がある家具や家電
などは、処分前に確認しておきたいものです。
特に書類関係は、家具そのものより重要な場合があります。
「家具を捨てる」という作業だけに集中せず、その家具の中に何が入っているのかを確認してから処分するようにしましょう。
家電は家具と同じようには捨てられない
実家を片付けていると、家具だけでなくテレビや冷蔵庫、洗濯機、エアコンなども出てきます。
これらは一般的な粗大ごみとは扱いが異なります。
エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機は、家電リサイクル法の対象です。
そのため、自治体の粗大ごみとして普通に出すのではなく、家電リサイクルのルールに従って処分する必要があります。
「実家を片付ける」というと家具ばかりに目が行きますが、家電もかなり場所を取ります。
家具と家電を最初から分けて考えておくと、処分方法を決めやすくなります。
一気に全部やろうとしなくてもいい
実家の家具が大量にある場合、1日ですべて片付けようとするとかなり大変です。
特に親が施設に入った直後は、家族もやることが多くなります。
施設の手続き、荷物の整理、親の生活用品の準備などをしながら、実家まで全部片付けるのは簡単ではありません。
そのため、最初は生活に必要な場所から始めるのがおすすめです。
例えば、
玄関や廊下にある大きな家具を減らす。
次に、親が使っていた寝室を整理する。
その後にリビングや収納を片付ける。
というように、場所を区切って進めても構いません。
特に実家を売却する予定がまだ決まっていないのであれば、焦ってすべてを空にする必要はありません。
国土交通省も、親が施設に入ったことを空き家発生のきっかけの一つとして挙げ、家財整理や家の今後について早めに考えることを勧めています。
家族だけで難しいなら、片付けを外に頼んでもいい
実家の片付けは、家族だけでやらなければいけないものではありません。
遠方に住んでいる、仕事が忙しい、家具を運べない、兄弟姉妹が集まれないなど、家庭によって事情はさまざまです。
そういう場合は、片付けや搬出を業者に依頼する方法もあります。
ただし、「何でも回収してくれる業者」を適当に選ぶのではなく、処分するものと売却するものをある程度分けてから相談したほうがいいでしょう。
また、訪問購入を利用する場合にも注意が必要です。
国民生活センターでは、不用品を買い取ると言って訪問した業者が、依頼していない貴金属などを強引に買い取るトラブルについて注意喚起しています。
実家の片付けは、「とにかく早く処分する」ことよりも、何を残し、何を売り、何を捨てるのかを整理してから動くことが大切です。
実家の大量の家具を処分するときは、この順番で考える
家具が多すぎて何から始めればいいか分からない場合は、次の順番で考えてみてください。
まず、親や家族に確認して「残すもの」を決める。
次に、家具の中にある書類や貴重品を確認する。
そのうえで、まだ使えるものを売却・譲渡できないか考える。
残す必要もなく、売るのも難しい家具について、自治体の粗大ごみなどで処分できるか確認する。
それでも量が多かったり、自分たちで搬出できなかったりする場合は、適切な業者への依頼を検討する。
この順番なら、「何でも業者に持っていってもらう」という片付け方になりにくくなります。
実家の家具を片付けることは、家をどうするか考えることでもある
実家の大量の家具を処分し始めると、次に出てくるのが「この家はこれからどうするの?」という問題です。
親が施設に入り、誰も住まなくなるのであれば、家を残すのか、売るのか、貸すのかといったことも考える必要があります。
ただ、これは家具の処分と同じタイミングで無理に決める必要はありません。
まずは家の中を整理し、必要なものを残しておく。
そのうえで、親や家族と家の今後について話し合う。
それから売却や賃貸などを検討しても遅くありません。
実家の片付けは、単に物を捨てる作業ではありません。
親がこれからどこで暮らすのか、実家をどうするのか、家族で考えるきっかけにもなります。
親の家の家具を処分するとき、まずやること
大量の家具を見ると、「こんなの全部どうするんだ」と思ってしまいます。
でも、最初から全部を処分する必要はありません。
まずは、残すものを決める。
次に、家具の中身を確認する。
売れるものと捨てるものを分ける。
自治体で処分できるものを確認する。
自分たちで難しい部分だけ、適切な業者に頼む。
このくらいの順番で進めれば大丈夫です。
そして、家具を片付けながら「この家をこれからどうするのか」も少しずつ考えていきましょう。
次の記事では、家具だけではなく、親の家に残った不用品を「売る」という場合に、何から手を付ければいいのかを考えていきます。

