親に電話で「次の病院はいつ?」と聞いても、「そんな予定は聞いていない」「まだ先だったと思う」と話がかみ合わない。実家に行ってみると、診察券や予約票が見つからず、受診できているのか心配になる。
高齢の親が通院の予定を忘れるようになると、家族としては不安ですよね。とはいえ、仕事や子育てがあるなかで、毎回付き添ったり、受診日を何度も確認したりするのは簡単ではありません。
大切なのは、親を責めることではなく、受診日を忘れにくい仕組みをつくることです。この記事では、予約の確認方法から、家族が離れて暮らしていてもできる工夫、受診忘れが続くときの相談先まで紹介します。
まずは「予約を忘れた」のか「予約が分からなくなった」のか確認する
親が病院の予約を忘れているように見えても、原因は一つとは限りません。
診察を受けたあと、次回の予約日を聞き逃していた。予約票をどこにしまったか分からなくなった。複数の病院に通っていて、どの病院が何日なのか混乱している。こうしたことも考えられます。
まずは、親に「どうして忘れたの?」と問い詰めるのではなく、「次の診察日を一緒に確認しよう」と声をかけてみましょう。
確認するものは、病院から渡された予約票、診察券、病院のアプリや予約確認の通知などです。予約票が見当たらない場合は、病院に連絡して次回の予約を確認できるか相談します。本人確認が必要なこともあるため、親本人から電話してもらうか、家族が問い合わせる場合の手続きを確認してください。
すでに予約日を過ぎていた場合も、放置せず病院に連絡しましょう。予約を取り直せるか、次にいつ受診すればよいかを確認します。薬が切れそうな場合や、症状が悪化している場合は、そのことも伝えてください。
受診日を忘れないために、予定を一か所にまとめる
親が複数の病院に通っているなら、受診日を一つのカレンダーにまとめる方法がおすすめです。
例えば、冷蔵庫や電話の近くなど、毎日目にする場所にカレンダーを置き、病院名と日時を書き込みます。「10月30日」だけではなく、「10月30日(金)午前10時、内科」のように、時間と診療科まで記載すると混乱を減らせます。
予約票をそのカレンダーの近くに保管するルールも決めておくと、探し回る手間が少なくなります。診察券やお薬手帳も、普段使うバッグや決まった収納場所にまとめておきましょう。
スマートフォンを使い慣れている親なら、カレンダーアプリやアラームを利用する方法もあります。ただし、アプリを入れれば必ず解決するわけではありません。通知の見方が分からなかったり、音を消してしまったりすることもあります。親が無理なく使える方法を選ぶことが大切です。
離れて暮らす家族は、前日と当日に短く確認する
毎回の通院に付き添うのが難しい場合は、受診日の前日と当日に短い確認を入れるだけでも、予定の行き違いを減らせます。
例えば、前日の夜に「明日は病院の日だね。予約票と診察券は用意できた?」と電話する。当日の朝に「今日は10時から内科だよ。気をつけて行ってきてね」と確認する。こうした声かけなら、長い電話をしなくても続けやすいでしょう。
家族が複数いる場合は、誰がどの病院の予定を確認するのか、あらかじめ分担しておくと安心です。きょうだいの誰か一人だけが、すべての予定を把握し続ける形にすると、その人の負担が大きくなります。
親がスマートフォンを使えるなら、家族と共有できるカレンダーを使う方法もあります。ただし、親が操作に慣れていない場合は、紙のカレンダーと電話での確認から始めても十分です。
予約を何度も忘れるなら、通院そのものを見直す
工夫しても受診忘れが続く場合は、予定の管理だけでなく、親の生活や体調にも目を向けてみましょう。
以前は自分で通院できていたのに、急に予約を忘れるようになった。病院名や受診する理由が分からなくなっている。診察を受けたこと自体を覚えていない。こうした変化が見られる場合は、単に「しっかりしてほしい」と注意するだけでは解決しない可能性があります。
予約忘れだけで認知症などの病気を判断することはできません。気になる変化が続くなら、かかりつけ医に具体的な状況を伝えて相談しましょう。急に意識や様子がおかしくなった場合は、通常の予約日まで待たず、速やかに医療機関へ相談してください。
また、通院の移動そのものが負担になっているケースもあります。足腰が弱くなり、病院へ行く準備が大変になっている。交通手段がなく、受診を先延ばしにしている。そうした事情がないかも確認してみましょう。
必要に応じて、地域包括支援センターに相談する方法もあります。本人の生活状況に応じて、利用できる支援や相談先を一緒に考えてもらえます。
家族が毎回付き添えないときは、無理のない支援方法を考える
親の通院を心配するあまり、家族がすべての予定を管理しようとすると、長く続けるのが難しくなります。
まずは、親が自分でできることと、手助けが必要なことを分けて考えましょう。予約日の確認は電話で行い、病院への移動だけ必要に応じて家族や支援者が手伝う、といった方法もあります。
病院によっては、予約確認や変更の方法が異なります。電話、予約票、病院のアプリなど、利用できる手段を受付で確認しておくと、次回からの対応が楽になります。
なお、通院の付き添いが必要でも、家族が必ず仕事を休まなければならないとは限りません。利用できる支援は地域や本人の状態によって異なるため、地域包括支援センターやケアマネジャーがいる場合は、具体的な困りごとを伝えて相談してみてください。
まとめ:受診日を忘れない仕組みを、親と一緒につくる
親が病院の予約を忘れるようになると、病気の悪化や薬の管理が心配になります。しかし、最初から親にすべてを任せるか、家族がすべて管理するかの二択にする必要はありません。
まずは予約票や病院への問い合わせで次回の受診日を確認し、カレンダーにまとめる。前日や当日に短い電話を入れる。受診忘れが繰り返されるなら、体調や生活の変化も含めて医療機関や地域包括支援センターに相談する。この順番で少しずつ整えていきましょう。
家族が無理なく続けられる方法を親と一緒に考えることが、受診忘れを減らし、必要な診療を受け続けるための第一歩になります。

