実家に帰ると、ベランダに洗濯物が干しっぱなしになっている。親に聞くと、「取り込むのが大変だから、そのままにしていた」と言う。
以前は当たり前にできていた洗濯も、年齢を重ねると負担になることがあります。
洗濯機を回すところまではできても、重い洗濯物を持ってベランダに出たり、物干し竿から衣類を外したりするのは大変です。足元が不安定になっている場合は、転倒も心配ですよね。
だからといって、子ども世代が毎回実家に通って洗濯をするのも簡単ではありません。
大切なのは、親に無理をさせず、家族も疲れ切らない方法を考えることです。洗濯物を干す場所を変えるだけで解決する場合もあれば、家事の一部を外部に頼んだほうがよい場合もあります。
この記事では、高齢の親が洗濯物を干したり取り込んだりするのが難しくなったとき、家族が確認したいことと具体的な対策を紹介します。
洗濯物を取り込めない親に、まず確認したいこと
洗濯物が干しっぱなしになっていると、つい「ちゃんと取り込んでおいてよ」と言いたくなるかもしれません。
しかし、親にも事情があるはずです。まずは、どの作業が負担になっているのかを確認しましょう。
たとえば、次のようなケースが考えられます。
・ベランダに出るとき、段差でつまずきそうになる
・洗濯物を持って移動すると、バランスを崩しそうになる
・物干し竿が高く、腕を上げるのがつらい
・洗濯物が重く、ハンガーから外すのが大変
・取り込んだ洗濯物をたたんだり、収納したりするのが負担
この違いによって、必要な対策も変わります。
たとえば、ベランダに出ること自体が危ないなら、物干し竿を低くするだけでは十分ではありません。一方、洗濯物を運ぶのが大変なだけなら、干す場所を室内に変えることで負担を減らせる可能性があります。
親が何に困っているのかを、責めずに聞くところから始めてみましょう。
対策1:ベランダに干すのをやめて、室内干しにする
まず検討したいのが、洗濯物を干す場所の変更です。
洗濯物は外に干すものだと思っている親もいるかもしれません。しかし、ベランダへの出入りが危険になっているなら、無理に今までの方法を続ける必要はありません。
室内干しにすれば、外に出るための段差や、洗濯物を持って移動する負担を減らせます。
ただし、室内干し用の道具を購入するときは、設置場所に注意しましょう。
通路をふさいだり、足を引っかけやすい位置に物干しを置いたりすると、かえって転倒の原因になることがあります。親が普段歩く場所を確保し、無理なく手が届く高さに設置することが大切です。
また、室内干しでは湿気がこもりやすくなるため、換気や除湿も考えたいところです。部屋の広さや洗濯物の量に合わせて、エアコンの除湿機能や除湿機などを活用する方法もあります。
ただし、親が機器の操作に慣れていない場合は、複雑な設定を増やさないほうがよいでしょう。使う機能を絞り、操作方法を大きな文字で書いておくと安心です。
対策2:洗濯物の量を減らして、作業を楽にする
洗濯物が多いと、干すときも取り込むときも大変です。
そこで、洗濯の回数や衣類の量を見直してみましょう。
たとえば、バスタオルを小さめのタオルに替える、重い衣類を一度にたくさん洗わない、洗濯物を詰め込みすぎないといった工夫があります。
洗濯物を一度にまとめて洗えば回数は減りますが、1回あたりの量が増えると、干す作業が重くなります。親の体力に合わせて、無理なく扱える量に調整することがポイントです。
また、洗濯物をたたむ作業も負担になっているなら、すべてをきれいにたたむ必要はありません。下着やタオルなどは、取り出しやすい場所に分けて収納するだけでも、日々の負担を減らせます。
家族が実家に帰ったときに、収納場所を見直しておくのもよい方法です。
対策3:洗濯機から干す場所までの動線を見直す
意外と見落としやすいのが、洗濯機から干す場所までの移動です。
洗濯物を持った状態で、廊下を通り、段差を越え、ベランダへ出る。この動作が毎日の負担になっていることがあります。
実家を確認するときは、洗濯機の周囲だけでなく、干す場所までの通路も見てみましょう。
床に物が置かれていないか、マットがめくれていないか、手すりが必要な場所はないか。洗濯物を持って歩くことを想定して確認すると、危険な場所に気づきやすくなります。
ただし、親がふらついている、段差を越えるのが難しい、ベランダで転びそうになったことがあるという場合は、動線を整えるだけで解決しようとしないでください。
まずはベランダに出る作業を避け、必要に応じて医療機関や地域包括支援センターなどに相談しましょう。
対策4:家族が毎回洗濯をする以外の方法を考える
ここまでの工夫をしても難しい場合、家族が洗濯を手伝う方法はあります。
ただ、仕事や育児があると、毎週決まった時間に実家へ行くのは大変です。離れて暮らしていれば、洗濯物がたまるたびに駆けつけることもできません。
そこで、家事の一部を外部に頼むことも考えてみましょう。
たとえば、家事代行サービスでは、サービス内容やプランによって洗濯、洗濯物を干す作業、取り込み、たたみなどを依頼できる場合があります。
ただし、対応できる作業は事業者やプランによって異なります。洗濯機の操作から干す作業、取り込みまで、どこまで頼めるかは事前に確認が必要です。
また、ベランダでの作業や高所の作業など、安全上の理由で対応できない場合もあります。
依頼する際は、「高齢の親がベランダに出るのを不安がっている」「洗濯物を取り込んで、たたむところまでお願いしたい」など、困っている状況を具体的に伝えるとよいでしょう。
洗濯だけでなく、掃除や料理も負担になっているなら、まとめて相談できる家事代行サービスを検討する方法もあります。
家族がすべての家事を引き受けるのではなく、負担の大きい作業だけを外部に頼る考え方です。
親に家事代行を勧めるとき、気をつけたいこと
親によっては、「家事くらい自分でできる」「他人を家に入れたくない」と感じるかもしれません。
その場合、いきなりサービスの利用を勧めると、反発されてしまうこともあります。
まずは、「洗濯を全部任せよう」という話ではなく、「ベランダに出るのが危ないなら、干すところだけでも楽にしよう」と伝えてみてください。
親が自分でできることは続けてもらい、難しくなった部分だけを補うという考え方なら、受け入れてもらいやすくなる可能性があります。
最初から定期利用を決める必要もありません。サービスの内容や料金を調べ、本人が納得できる範囲で検討すれば大丈夫です。
洗濯物の変化は、親の暮らしを見直すサイン
洗濯物が取り込まれなくなったからといって、すぐに介護が必要だと決まるわけではありません。
干す場所を変える、洗濯物の量を減らす、家事の一部を頼むなど、環境を変えることで対応できる場合もあります。
一方で、洗濯以外にも買い物や掃除、食事の準備が難しくなっているなら、暮らし全体を見直すタイミングかもしれません。
家族だけで対応しようとせず、自治体の相談窓口や地域包括支援センターなども活用しましょう。
親の生活を支えることは大切ですが、子ども世代が無理を続けなければ成り立たない方法では、長続きしません。
今できることと、誰かに頼めることを分けながら、親も家族も無理なく続けられる方法を探していきましょう。

