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『薬屋のひとりごと』が実写化へ 主人公・猫猫役は芦田愛菜に決定

累計4500万部を突破した大ヒット作『薬屋のひとりごと』(日向夏著、ヒーロー文庫)が実写映画化されることが「週刊文春」の取材で明らかになりました。主人公・猫猫(マオマオ)役には芦田愛菜さん(21)、中性的な美貌の宦官・壬氏(ジンシ)役には野村康太さん(21)が抜擢されます。

漫画化・アニメ化を経て絶大な人気を築いてきた原作は、実写映画で新たな成功を収められるのか――すでに大きな注目が集まっています。



■『薬屋のひとりごと』が築いた圧倒的人気

『薬屋のひとりごと』は、架空の中華風帝国「茘(リー)」を舞台に、後宮で働く官女の猫猫が薬学の知識をもとに難事件を解決する物語です。原作の緻密な薬学描写と後宮ミステリーの重層性が支持を集め、漫画化・アニメ化で幅広い層に浸透しました。

特にアニメ版の放送後は原作販売が急伸し、シリーズ累計発行部数は4500万部を突破しています。ライトノベルの枠を超え“国民的コンテンツ”の地位を確かなものにしました。

作品人気の背景には、キャラクター造形の巧みさがあります。主人公の猫猫は薬や毒に異常な興味を抱き、好奇心から自らの腕を実験台にしてしまう一方、宮中の権力構造を冷静に見抜く観察力を併せ持ちます。周囲を振り回す快活さと、状況を俯瞰する冷静さが共存するキャラクターは、読者だけでなくクリエイターにとっても強い魅力を持ちます。

アニメ化によって猫猫と壬氏の掛け合いが可視化され、SNSを中心にファン層が拡大しました。世界観の再現度の高さと、薬学をめぐる論理的な謎解きが支持され、考察文化が自然発生し、物語の奥行きが語り継がれる作品へと進化しています。


■芦田愛菜さん(21)の確かな演技力と“猫猫との親和性”

主人公・猫猫を演じるのは、子役時代から圧倒的な存在感を示してきた芦田愛菜さん(21)です。学業を両立しながら活動を続け、近年はドラマ、映画、CMなど出演作の幅を広げています。年間100冊を読破する読書家として知られ、知識欲が高く、研究に没頭するタイプの猫猫との共通点も多いです。

出版関係者の証言として、「朝の時間まで活用して少しでも知識を広げようとする芦田さんにはぴったりの役柄」との声があるといいます。薬物の調合に興奮して奇声を上げるような“変人味”のある猫猫の側面を、芦田さんがどう演じ分けるのか。そのギャップは映画版の大きな見どころになるはずです。

芦田さんはこれまで、感情を抑えた知的な役柄から、深い感情を抱える若者像まで幅広く演じてきました。猫猫の不可思議さ、冷静さ、瞬発的な行動力といった複雑な要素をどこまで引き出せるのか。彼女の新境地を開く役になる可能性は大きいです。


■野村康太さん(21)が挑む“壬氏”の困難さ

中性的な雰囲気をもつ美男子――壬氏は、実写化において最も再現が難しいキャラクターと言われてきました。美しさと冷徹さ、優雅さと影のある佇まいという相反する要素を併せ持ち、猫猫との微妙な距離感が作品の魅力を支えています。

その壬氏役には、俳優・沢村一樹さんの次男である野村康太さん(21)が決まりました。野村さんは2003年生まれ、身長184センチ。2022年に俳優デビューすると、『silent』『差出人は、誰ですか?』など話題作に次々出演。2023年にはMEN’S NON-NOの専属モデルに抜擢され、モデル業でも評価を高めました。柔らかさと冷たさが同居する中性的なビジュアルは、壬氏のイメージと親和性が高いです。

野村さんは、派手な芝居より“静かな間”で魅せるタイプの俳優で、視線や呼吸の変化で心理を語る演技が特徴です。これは壬氏の不可解な魅力を表現する上で極めて重要な要素です。父・沢村一樹さんの“抑制の効いた存在感”を受け継ぎながら、自身の個性を積み上げてきた野村さんが、壬氏をどう解釈するのか。実写化最大の焦点といえます。


■実写映画化への期待と課題

今回の実写化が注目される理由は、原作の人気だけではありません。後宮の巨大な建築群、衣装、薬草や毒の調合、宦官制度など、作品を支えるディテールの密度が極めて高く、実写化には美術と脚本の両面で高度な再構築が求められます。

アニメ版で成功した色彩感覚や音響演出を、実写でどこまで再現できるのか。猫猫と壬氏、二人の距離感の“静かな緊張”をどう描くのか。制作陣の力量が大きく問われます。

しかし、人気作品の中でも、薬学×後宮ミステリーという独自性の高いジャンル性は、実写映像で新たな魅力を引き出す余地が大きいです。芦田さんと野村さんという若い才能が、作品世界をどのように現実に落とし込むのか。日本映画界にとっても大きな挑戦となります。


■メディアを横断してきたヒット作の“次の段階”

小説、漫画、アニメと段階的に支持基盤を広げてきた『薬屋のひとりごと』は、いま実写映画という新たなフェーズに踏み出しました。若い俳優二人の才能が作品の世界観にどう作用するかは、ヒット作の実写化という枠を超えて、コンテンツ産業全体の指標にもなり得ます。

公開に向けて、現在は制作体制や追加キャストなどの続報が待たれる段階ですが、今回のキャスティングだけでも、作品の“本気度”は十分伝わってきます。実写映画版が第四のヒット媒体となるかどうか、今後の動向から目が離せません。

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