伊東市の田久保眞紀前市長が、自身の失職に伴う伊東市長選に立候補する意向を固めたことが分かりました。12月7日に告示される同市長選(投開票は12月14日)に向け、11月18日にも市内で出馬会見を開く見通しです。
田久保前市長は、大学を除籍されていたにもかかわらず、市の広報誌などで「東洋大学法学部卒業」と経歴を記載していたことが問題となり、市議会から二度にわたって不信任決議を受け、10月31日をもって失職していました。学歴詐称問題を発端とする失職は、地方自治体首長としては異例のケースであり、全国的にも大きな注目を集めました。
市長失職後、田久保前市長は報道機関に対して、「この騒動の中で何を言っても悪く言われる、叩かれるというシーンがあった」と不満を滲ませつつも、市長選については「どのような伊東市を作っていきたいのか、そこに焦点が当たる選挙になってほしい。私個人に対する評価よりも政策論争が繰り広げられることに期待したい」とコメントしています。立候補の意思に関しては、「支援してくれている皆さんとよく話しながら、自身も向き合って考えていきたい」と慎重な姿勢を見せていました。
■学歴詐称問題から出直し選挙へ
田久保前市長の学歴詐称問題は、市議会と有権者の間で大きな波紋を広げました。大学を除籍されていた事実を隠して「卒業」と記載したことが明るみに出ると、市議会では二度の不信任決議が行われ、失職に至りました。
失職を受けて、田久保氏の支持者の間では賛否両論が巻き起こりました。一方では「市長としての仕事ぶりや政策は評価している」との声があり、もう一方では「経歴を偽った人物を市長に再び選ぶことはできない」という批判が強まりました。
こうした状況を踏まえ、田久保前市長は今回の伊東市長選に出馬することで、自らの政治生命の再起を図る狙いがあるとみられます。「出直し選挙」と呼ばれる今回の選挙は、過去の経歴問題をどう克服するかが最大の争点の一つとなるでしょう。
■既に5人が出馬表明 激戦必至
伊東市長選には、すでに5人の候補者が立候補を表明しています。
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スポーツトレーナー・石島明美氏
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元市議・杉本憲也氏
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薬局チェーン顧問・黒坪則之氏
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元市長・小野達也氏
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NPO法人代表・岩渕完二氏
田久保前市長が加わることで、少なくとも6人による激戦が予想されます。各候補者は、自身の政策や市政運営のビジョンを示し、有権者の信頼を勝ち取る戦いに臨むことになります。
市長選では、教育、観光、医療、公共交通、災害対策など、地域住民の生活に直結するテーマが中心となることが予想されます。田久保前市長も、失職の経験を踏まえて、市民に対して政策やビジョンで信頼を取り戻す戦略を描くことが課題となります。
■経歴詐称問題の波紋 支持者と反対派の声
田久保前市長の学歴詐称問題をめぐっては、支持者からも一定の理解を示す声があります。「市長としての仕事ぶりを評価している」「実績を重視すべき」との意見です。一方、反対派からは「経歴を偽った人物を再び市長に選ぶわけにはいかない」「信頼回復は容易ではない」と厳しい声も上がっています。
SNSや地域ニュースでは、今回の選挙に対して多くの議論が交わされており、市民の関心の高さをうかがわせます。学歴詐称問題が発端で行われる今回の選挙は、単なる市長の再選を超え、地方自治における信頼の回復というテーマも含まれています。
■田久保前市長の政策と意気込み
過去の市長任期中、田久保前市長は観光振興や地域活性化に力を入れてきました。特に伊東温泉街の振興策や防災・医療体制の強化、子育て支援などが実績として挙げられます。
失職後のコメントでは、「個人への評価ではなく、政策論争に焦点を当てた選挙になってほしい」と語っており、再び市長として市政に携わる意欲は強いとみられます。支援者との調整を重ねながら、出直し選挙に挑む構えです。
■地域社会への影響と今後の注目点
伊東市長選は、市民生活に直結する重要な選挙です。観光都市である伊東市においては、観光振興や防災、医療、交通インフラの整備が重要課題となります。
田久保前市長の再出馬により、選挙戦は過去の経歴問題だけでなく、政策論争の深さや候補者の信頼性も問われる形になります。地域住民や有権者は、候補者の政策や人物像を慎重に見極める必要があります。
11月18日の出馬会見では、田久保前市長がどのような公約や政策ビジョンを示すかが注目されます。また、他候補者との討論や街頭演説などを通じて、市民の関心や投票行動に大きな影響を与えることになるでしょう。
■まとめ
学歴詐称問題で失職した田久保前市長が、出直し選挙に挑む伊東市長選は、地域政治における信頼回復の象徴ともいえます。既に5人の候補者が立候補を表明しており、選挙戦は激戦必至です。
市民にとっては、過去の問題と向き合う候補者の姿勢、政策の具体性、そして市政に対する信頼度が投票の重要な判断材料となります。11月18日の出馬会見を皮切りに、伊東市長選は市民の注目を集める選挙戦となるでしょう。

