政府は2026年1月から、電気自動車(EV)購入への補助金上限を現行より40万円引き上げる方針を固めました。一見、EV普及を強力に後押しする施策に見えますが、その裏では2026年度税制改正により「EV重量税」という新たな負担を課す調整が進んでいます。「アメ」を与えておきながら別の窓口で「ムチ」を振るう、政府のちぐはぐな政策の実態と、その背景にある冷徹な計算を紐解きます。
補助金増額の「正体」は日米摩擦の回避?FCVは105万円の大減額!
今回の補助金見直しで最も注目すべきは、燃料電池車(FCV)の補助金が105万円も削減される点です。政府は「平均価格の2割程度にそろえる」という「公平性」を理由に挙げていますが、大手が触れない真の狙いは「日米関税交渉」への配慮です。
日本車が得意とするFCVに手厚い補助金を出し続けることは、米国のテスラなどのEV勢にとって「非関税障壁」と映ります。トランプ政権(あるいは次期政権)からの圧力をかわすため、日本独自のFCV優遇を削り、EVへ資金を振り分けることで「公平な市場」を演出しているのが実情です。
普及させたいのに増税?「EV重量税」が狙う道路財源の補填!
補助金を増やしてEVを買わせようとする一方で、なぜ「重量税」を導入するのか。そこには、ガソリン税収入が減り続ける政府の焦りがあります。
EVは大型バッテリーを積むため、同クラスのガソリン車よりも数百キロ重くなるのが一般的です。「車体が重い=道路を傷めている」という論理を振りかざし、これまで免税や軽減の対象だったEVから確実に税金を取り立てる仕組みを作ろうとしています。
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購入時: 補助金で安く買える(一時的なアメ)
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維持期: 毎年、重いバッテリー分だけ高い税金を払う(恒久的なムチ)
この「出口(購入)」を広げて「入り口(維持)」で絞り取る手法は、ユーザーにとって長期的なコスト増に繋がりかねません。
「政策のちぐはぐ感」は確信犯?ユーザーを置き去りにした数字合わせ!
「EVは環境に良いから優遇する」という大義名分と、「EVは重いから課税する」という実利。この二律背反な政策が同時に進むことで、消費者は「結局EVはお得なのか?」という疑念を抱かざるを得ません。
政府の狙いは、EVの販売台数という「実績」を作って国際的な批判をかわしつつ、減り続ける税収を「重量税」という新名目で補填するという、極めて官僚的な「数字の帳尻合わせ」です。この政策に、ユーザーの利便性や真のカーボンニュートラルへのビジョンはどれほど含まれているのでしょうか。
2026年1月が分岐点!賢い買い時はいつになるのか?
補助金の増額は2026年1月から始まりますが、同時に「重量税」の詳細も固まってきます。購入検討者にとっては、補助金の上積み分と、将来にわたって支払う重量税の総額を天秤にかけなければならない、非常に難しい判断を迫られます。
この「EV重量税」がどの程度の金額になるのか、また、他のハイブリッド車(HV)への波及はあるのか。今後発表される税制改正大綱の細部を徹底的にチェックする必要があります。

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