■地元・戸塚区を支援するために提供した「サイン入りスパイク」
サッカー日本代表の遠藤航選手が、地元である横浜市戸塚区の取り組みを応援するため、自身が実際に使用した“サイン入りスパイク”をふるさと納税の返礼品として提供したことが話題となっています。
これは、戸塚区内の桜並木保全を目的としたクラウドファンディング型のふるさと納税プロジェクトで、遠藤選手は応援アンバサダーとして協力。返礼品のためにサイン入りスパイクを3足提供し、寄付額は1足あたり33万円に設定されていました。
地元の未来を守るために、トップアスリートが自らのアイテムを提供するという取り組みは注目を集め、地域活性化の新しいモデルとして期待されていました。
■しかし結果は…“応募ゼロ”という衝撃
ところが、募集期間が終了しても――
申し込みは1件もなかった ことが明らかになりました。
戸塚区は報道の取材に対し、「周知が不十分だった」「遠藤選手に申し訳ない」とコメント。区としても予想外の結果で、全国的にも異例のケースとなっています。
地元のスター選手が提供した“実使用&サイン入りスパイク”という希少性の高い返礼品でさえ、ふるさと納税の枠組みでは必ずしも人気につながらないという現実が浮かび上がりました。
■なぜ申し込みゼロだったのか?
専門家やネット上では、主に次のような理由が指摘されています。
◆1. 寄付額の高さ
1足あたり33万円という寄付額は、スパイクの価値を考えると高すぎるわけではありませんが、
“抽選制”だったため、寄付しても手に入らない可能性があるという点が大きなハードルだったとみられます。
◆2. 横浜市民は申し込み不可
今回の返礼品は横浜市外在住者のみが対象。
遠藤選手の地元ファンや地元ゆかりの人たちの多くが対象外になり、申し込み母数が極端に限られてしまいました。
◆3. 申込方法が限定的
申し込みはオンライン申請のみ。
ふるさと納税サイト経由ではなく、市の電子申請フォームを通す必要があり、手続きの分かりづらさが敬遠された可能性があります。
◆4. 周知不足
SNSやニュースで知った人も多かったものの、募集期間が短く、地域外のファンに十分届かなかったことも影響したと考えられます。
■遠藤航の“地元愛”が詰まった取り組みだった
遠藤選手は、戸塚区の柏尾川沿いに続く桜並木の保全活動に強い思いを持ち、アンバサダー就任にも快く協力。今回のスパイク提供も、自身のプレーで地域を盛り上げたいという純粋な気持ちから行われました。
希少性の高いアイテムを提供したにもかかわらず申し込みがゼロだったことについて、ネットでは
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「制度が選手にとって不利だっただけ」
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「地元愛のある取り組み。これで評価が下がるわけではない」
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「応援の仕組みをもっと工夫すべき」
と、むしろ遠藤選手を擁護する声が多数上がっています。
■“スポーツ×ふるさと納税”の難しさを浮き彫りに
今回の件は、スポーツ選手の協力による地域活性化プロジェクトが必ずしも成功するとは限らないことを示しています。
返礼品の魅力だけではなく、
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寄付額の妥当性
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制度上の制限
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手続きの簡便さ
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広報の徹底
といった要素が揃わなければ、支援者の心には届きにくいということが明らかになりました。
とはいえ、地域のために力を貸した遠藤選手の姿勢は称賛すべきものであり、今回の結果が今後の制度改善につながる可能性もあります。
■まとめ
遠藤航選手が地元の桜並木保全に協力し、サイン入りスパイクを返礼品として提供したプロジェクトは、
惜しくも応募ゼロとなりました。
しかし、この取り組みは
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地域を思うトップアスリートの姿
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ふるさと納税の課題
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応援の仕組みを再考する必要性
を浮き彫りにした、価値ある事例といえます。
今後、制度が改善され、こうした“スポーツ×地域支援”の取り組みがより多くの人に届く形で発展することに期待したいところです。

