米大リーグのロサンゼルス・ドジャースが、トロントで行われたワールドシリーズ第7戦で劇的な勝利を収め、2年連続の世界一に輝きました。そのラストを締めくくったのは、ドジャースの右腕・山本由伸投手(26)。
中0日で登板し、満塁の大ピンチをしのぎ、歓喜の胴上げ投手となりました。
涙で顔を濡らしながら仲間と抱き合う山本投手の姿は、世界中のファンの心を打ちました。試合後には「無心で、野球少年に戻った気持ちでした」と語り、少年時代からの夢を叶えた夜となりました。
■ 奇跡の“中0日登板” 96球からの魂の投球
山本投手は前日の第6戦で先発登板し、96球を投げて6回1失点の好投。通常なら数日間の休養が必要なところ、最終戦の9回に急きょマウンドへ送り込まれました。
チームは3対4と1点ビハインドの9回表、ロハス選手の劇的なソロ本塁打で同点に追いつきます。その裏、1死一、二塁のピンチで登板を告げられた山本投手。死球で満塁としながらも、冷静に二ゴロ、中飛でピンチを脱出。さらに延長10回も無失点で切り抜けました。
そして11回、スミス選手の勝ち越し本塁打で再びリードを奪うと、その裏も山本が続投。1死一、三塁のピンチを併殺で締め、ゲームセット。ドジャースの歓喜の中心には、涙ぐむ山本投手の姿がありました。
「気づいたらマウンドいました」と笑顔を見せた一言には、疲労を超えた充実感と覚悟がにじんでいました。

■ 大谷翔平とともに――“夢の日本人バッテリー”が実現
この試合では大谷翔平選手も「1番・投手兼DH」として出場。投手として2回1/3を投げ5安打3失点、打者としては4打数2安打の活躍を見せました。山本と大谷という日本人投手二人が世界一の舞台で共闘した姿は、まさに歴史的な瞬間といえます。
山本投手は試合後、「大谷さんがいたからこそ、このチームで世界一になりたいと思えた」と語っており、メジャー挑戦初年度にして最高の結末を迎えました。
■ 山本由伸のプロフィール
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名前:山本 由伸(やまもと・よしのぶ)
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生年月日:1998年8月17日(26歳)
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出身地:岡山県備前市
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身長/体重:178cm/80kg
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ポジション:投手
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所属:ロサンゼルス・ドジャース
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出身校:都城高校(宮崎県)
高校時代から140キロ台後半のストレートを投げ、プロ scouts から注目を浴びていました。2016年にオリックス・バファローズへ入団後、年々成長を重ね、2021〜2023年には日本プロ野球史上初となる3年連続投手三冠(最優秀防御率・最多勝・最多奪三振)を達成。WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)でも侍ジャパンの主力として活躍しました。
2024年オフにポスティングシステムでメジャー挑戦を表明。12年総額3億2500万ドル(約470億円)という史上最高額でドジャース入りを果たし、大谷翔平との“ダブルエース体制”として世界の注目を集めていました。
■ 胴上げ投手として刻まれた伝説
山本由伸が胴上げ投手となった瞬間、ドジャースベンチは総立ち。ロバーツ監督と熱く抱き合い、チームメイトのスミス、ベッツ、大谷らが次々に駆け寄りました。
この日の試合はまさに「総力戦」。山本の無失点リリーフがなければ、世界一の座は遠のいていたかもしれません。試合後、ロバーツ監督は「由伸は魂の投手だ。彼の覚悟がチームを救った」と絶賛しました。
また、アメリカ現地メディアは「Yamamoto’s Heart of Steel(鋼の心臓)」と報じ、SNS上では「#YoshinobuLegend」がトレンド入りするなど、世界中で称賛の声があふれました。
■ 「野球少年の気持ちで」 26歳の涙に宿る原点
山本由伸はインタビューで「野球少年に戻った気持ちでした」と語っています。この言葉には、野球を純粋に愛する彼の人柄がよく表れています。
幼少期から努力家として知られ、ストイックに体づくりとフォーム改良を続けてきました。練習では一球ごとにビデオチェックを欠かさず、細かな感覚を数字や映像で可視化して成長してきたといいます。
オリックス時代の同僚・吉田正尚選手(現レッドソックス)は「彼は一切手を抜かない。勝つための努力を惜しまない」と語っており、今回の中0日登板という“無理”を可能にしたのも、そうした準備の積み重ねがあってこそでした。
■ 日本球界とファンへのメッセージ
日本のファンにとって、山本由伸は「令和のエース」と呼ばれる存在。ドジャースでの1年目から世界一という結果を残したことで、日米の野球史に新たなページを刻みました。
SNS上では
「中0日であのピッチング、鳥肌立った!」
「オリックス時代からずっと応援してる。涙が止まらない」
「由伸と大谷の共演、夢みたい!」
といった声が相次いでいます。
■ 終わりに
“気づいたらマウンドにいた”――。この言葉は、世界最高峰の舞台で戦う男の直感と責任感を象徴しています。
山本由伸はただの勝利投手ではありません。仲間を信じ、プレッシャーを乗り越え、野球少年としての純粋な気持ちで投げ切った“魂の右腕”です。
ドジャースの世界一は、間違いなくこの若き日本人右腕の存在なくして語れません。
そして彼の物語は、まだ始まったばかりです。


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