2025年12月16日、参議院本会議において、国会議員の期末手当(ボーナス)を現行水準で維持する「改正歳費法」が、賛成多数により可決・成立しました。
当初検討されていた「月額5万円の増額」がなぜ見送られたのか、そして同時に成立した「改正秘書給与法」とは何なのか、その詳細を解説します。
■ 1. 期末手当(ボーナス)はなぜ「据え置き」になった?
本来、一般職の国家公務員の給与引き上げに合わせて、国会議員の歳費(給与)や手当も引き上げることが検討されていました。
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当初の検討内容: 与党内で「月額5万円の引き上げ」が議論されていました。
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見送りの理由: 物価高に苦しむ国民感情や、政治資金問題などへの批判を考慮し、条項への明記は見送られました。結果として「現状維持」という形をとることで、批判を回避する狙いがあったと見られます。
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妥協案: 与野党は改正法の「付則」に文言を加えるにとどめ、具体的な増額の明記を避ける形で決着しました。
■ 2. 「改正秘書給与法」の成立:秘書の待遇改善へ
一方、同時に成立したのが「改正秘書給与法」です。こちらは議員本人ではなく、議員を支える公設秘書の給与に関する内容です。
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業務調整手当の追加: 一般職国家公務員の給与法改正に合わせ、秘書にも新たに「業務調整手当」が加算されることになりました。
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背景: 多忙を極める議員秘書の労働実態に合わせ、手当を拡充することで待遇を改善し、優秀な人材を確保する狙いがあります。
■ わかりやすい比較:今回の法改正で何が変わった?
| 対象 | 内容 | 結果 |
| 国会議員 | 月額歳費・期末手当 | 据え置き(5万円増額案は見送り) |
| 議員秘書 | 給与・手当 | 拡充(「業務調整手当」を新設) |
■ 今後の展望:政治への信頼回復が課題に
議員自らの給与引き上げを見送った今回の決定ですが、依然として「政治とカネ」をめぐる国民の視線は厳しいものがあります。
「自分たちの待遇を上げる前に、やるべきことがあるのではないか」という世論に対し、今回の「据え置き」という判断がどう評価されるのか。そして、拡充された秘書給与が適正に運用され、政治活動の質の向上に繋がるのかが、今後の注目点となります。

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