1月14日、ウィンタースポーツ界を揺るがす衝撃のニュースが飛び込んできました。2026年ミラノ・コルティナ五輪を目指していたボブスレー日本代表(男子2人乗り)の出場可能性が、日本ボブスレー連盟の「事務的なミス」によって完全に消滅したのです。
選手の成績不足ではなく、運営側の「ルール解釈の誤り」で4年間の努力が水の泡になるという前代未聞の失態。その背景には、連盟のずさんな管理体制と、マイナー競技が抱える深刻な構造的問題がありました。
1. 致命的だった「4人乗り」ルールの見落とし
今回の五輪出場枠をめぐっては、2024年に大きなルール変更がありました。
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新ルールの罠: 今大会から、男子2人乗りの出場枠を獲得するには「2人乗り」だけでなく「4人乗り」の国際大会にも出場し、その合算ポイントでランキングを競う方式が採用されました。
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連盟の失態: 連盟はこの変更を見落とし、「2人乗りだけの成績で良い」と勘違い。2人乗りの遠征には注力したものの、4人乗りの大会には一度もエントリーしませんでした。
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発覚の経緯: 1月初旬、他国の関係者から「なぜ日本は4人乗りの大会に来ないのか? 出場権を失うぞ」と指摘され、ようやくミスに気づきました。国際連盟に救済を求めましたが、「ルールは全加盟国に平等」として却下されました。
2. 「ホウレンソウ」の欠如と脆弱な体制
なぜこれほど重大な変更を見逃したのか。会見では、連盟内の目を疑うような実態が明かされました。
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国際会議への欠席: ルール変更が議論・発表された2024年6月の国際会議に、日本連盟は出席していませんでした。
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ダブルチェックの欠如: 強化委員長は「担当者が優秀だったので全幅の信頼を置いていた。ホウレンソウ(報告・連絡・相談)がないまま見過ごされた」と釈明。一人の担当者に丸投げし、組織としてのチェック機能が皆無だったことが露呈しました。
3. ボブスレー界が抱える「氷点下の現実」
このミスがより罪深いのは、ボブスレーという競技が、選手の凄まじい「自己犠牲」の上に成り立っているからです。
国内に「滑る場所」がない
日本にはかつて長野五輪で使用された「スパイラル」というコースがありましたが、維持費の問題で2018年に製氷を休止、現在は事実上の閉鎖状態です。日本代表は国内で一度も練習できないまま、海外遠征でぶっつけ本番の滑走を強いられています。
数百万円の「自腹」遠征
連盟の予算は極めて少なく、遠征費やソリの輸送費の多くを選手が負担しています。
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ある選手は、1シーズン数百万にのぼる遠征費を捻出するため、クラウドファンディングで寄付を募り、オフシーズンはフルタイムで働いて資金を貯めてきました。
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ボブスレーのソリは1台1000万円以上することもあり、まさに「人生を賭けた」投資です。
競技人口はわずか「50人」
国内にコースがないため、競技人口はわずか50人程度。スタッフも極めて少なく、今回のミスも「少人数で回していたための情報不足」が言い訳にされていますが、そのツケをすべて払わされたのは、必死に氷上を駆け抜けた選手たちでした。
4. 選手たちの絶望と、今後の責任追及
12日に失意のまま帰国した選手たちは、「言葉が見つからない」「自分の4年間は何だったのか」と、あまりに理不尽な結末に打ちひしがれています。
今後、日本オリンピック委員会(JOC)による調査や、連盟幹部の退任を含めた責任追及が行われる見通しですが、奪われた五輪の舞台が戻ってくることはありません。
今後の焦点
連盟トップの引責辞職はあるのか
選手たちへの金銭的・精神的補償をどう進めるのか
日本国内での競技継続の是非(コース再開か、完全撤退か)
