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【万博黒字見込み!】スタッフの給料はいくら?230億円超黒字も建設費は除外!?

大阪・関西万博の運営を担う日本国際博覧会協会(万博協会)は7日、2025年大阪・関西万博の運営費収支について、230億〜280億円の黒字となる見通しを発表しました。

当初は赤字の懸念もありましたが、入場券や公式キャラクター「ミャクミャク」グッズの販売が好調に推移したことで、一転して大幅な黒字が予想されています。

ただし、この黒字は会場建設費などを除いた「運営費ベース」のもの。建設やインフラ整備にかかった公費負担は含まれていません。

一方で、黒字を支える“現場の働き手たち”──つまり万博スタッフの給料や待遇については、あまり報じられていないのが現実です。

カカニュースでは今回、黒字見込みの構造と、現場スタッフの収入実態をあわせて追いました。



■ 運営費ベースで230億円超の黒字見込み

7日に大阪市内で開かれた理事会で、万博協会は運営費の最新試算を公表しました。

当初の計画では運営費1160億円を見込んでいましたが、実際の収入がこれを大きく上回り、約230億円の上振れが予想されています。

内訳をみると、主力の入場券売上が計画比で約200億円増。10月3日時点で累計約2207万枚が売れており、損益分岐点とされる1800万枚を大幅に突破しました。

さらに、ミャクミャクのぬいぐるみや文房具、Tシャツなどの公式グッズ販売も好調で、関連ロイヤルティー収入が約30億円増と見込まれています。

一方で支出は、運営経費の削減効果で約100億円の節減を実現。序盤で低迷した「パーク・アンド・ライド」事業の赤字(約50億円)を差し引いても、最終的には計画より支出を50億円下回るとしています。

結果として、230億~280億円規模の黒字という見通しが立ちました。
これは、2005年の愛知万博(愛・地球博)の約129億円黒字を大きく上回る金額です。

ただし、この黒字は「運営費」に限ったものであり、

などは含まれていません。
そのため、「実質的な万博全体の収支が黒字になる」とは限らない点に注意が必要です。

■ 黒字の裏で支えるスタッフたち

黒字の大部分を支えているのは、実際に現場で来場者を案内し、運営を支えるスタッフたちです。
彼らの多くは、契約社員やアルバイト、派遣という形で雇われています。
では、実際の給料水準はどの程度なのでしょうか。

● 会場案内スタッフ:時給1,850円前後

会場内での来場者誘導、案内、観覧サポートを行う「EXPOサービスクルー」は、時給1,850円前後で募集されています。
勤務は1日8時間を基本とし、交通費支給、深夜割増あり。
英語や中国語対応ができるスタッフは時給が上がる傾向にあります。

● グッズ販売スタッフ:時給1,700円台

ミャクミャク関連のグッズやお土産を扱う公式ショップの販売員は、時給1,730円前後の求人が中心です。
会期中は土日もシフト制で、夏季や連休時は残業も発生します。

● 警備・警護スタッフ:時給2,000〜2,500円

人の出入りが集中するゲート警備や夜間巡回業務では、時給2,000〜2,500円という高単価の募集もあります。
ただし、こちらは危険対応訓練や夜勤が前提のため、体力・経験を要します。

● 管理・統括スタッフ:月収27〜35万円

現場全体を統括する管理者ポジションでは、月収27〜35万円前後の契約社員求人も見られます。
ただし、ポスト数は限られており、一般スタッフと比べると採用枠はごくわずかです。

■ 平均より高い? それとも抑えられている?

一部報道では、万博関連の時給が「地域平均より3割ほど高い」と分析されています。
実際、大阪府内の一般的なイベントスタッフ時給は平均約1,400円〜1,500円。
それに比べると、万博関連は約1,800円〜2,000円台と高めに設定されています。

ただし、雇用の多くが「期間限定」であり、福利厚生や賞与はありません。
また、会期前の研修期間も含めると、実働期間は半年〜1年に満たないケースが多いのが実情です。

■ 「黒字=豊か」ではない構図

今回発表された黒字見込みは、「運営が効率的であった」という成果を示す一方で、
その支えとなる人的コストをどこまで適正に扱っているかという視点も欠かせません。

万博協会は「黒字分は、万博のレガシー(遺産)を伝える活動などに充てたい」としていますが、
現場の声としては「人手不足の中でシフトが詰められ、体力的にきつい」「派遣契約なので先が見えない」といった声も少なくありません。

人件費の削減が黒字の一因となっているとすれば、それは一種の“見えないコストカット”でもあります。
建設費を除いた運営費黒字という数字だけでなく、そこに含まれる人の労働の価値をどう再配分するか──
その議論こそ、閉幕後に問われるテーマとなりそうです。

■ 剰余金の使い道と今後の焦点

十倉雅和会長は7日の記者会見で、「剰余金の使い道は、万博の意義を次世代に伝える取り組みに活用したい」とコメント。
ただし、具体的な配分や金額はまだ決まっていません。
国や大阪府・市、経済界が今後議論し、方針を定める見込みです。

また、閉幕後にシンボル構造物である大屋根『リング』(1周約2キロ)の一部を市営公園として保存・整備する計画も進んでいます。
この整備や維持管理に、数億円規模の費用がかかるとされ、その一部は会場建設費の予備費(約130億円)から充てる方向で調整中です。

■ まとめ:黒字の光と影

大阪・関西万博は、巨額の建設費や批判的な世論を背景に「赤字必至」とも言われていました。
しかし、入場券やグッズの販売が牽引し、結果として運営費ベースでは大幅黒字という成果を上げつつあります。

とはいえ、黒字の影にあるのは、長時間働くスタッフたちと、彼らの手で支えられた現場のリアリティです。
「建設費を除けば黒字」「運営は成功」と言い切る前に、利益の一部を現場や地域へどう還元していくか。
それが、万博の“真のレガシー”を問う鍵となるのではないでしょうか。

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