かつて卵は、家計にとって「迷わずカゴに入れる存在」でした。
特売なら1パック100円台、安売り競争の象徴とも言える食品だったからです。
しかし今、その卵が308円超え。
数字だけ見れば「200円台後半から300円前後」という話ですが、生活者の感覚では明らかに“別物”になりました。
「卵って、こんなに考えてから買うものだっけ?」
そんな声が、今の空気を象徴しています。
昔は「100円台」が当たり前だった卵の記憶
少し前まで、スーパーの卵売り場には暗黙の相場がありました。
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特売:98円〜128円
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通常価格:150円前後
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高くても200円未満
とくに2010年代は、卵=価格安定の優等生とされ、
物価高の時代でも「最後まで値上がりしない食品」の代表格でした。
家計簿をつけていない人でも、
「卵は100円台で買うもの」という感覚は、ほぼ全国共通だったはずです。
平均「308円」という衝撃──感覚と数字のズレ
現在、全国スーパーのデータでは、
卵1パック(10個)の平均価格が308円を超える水準に達しています。
これがどれほど異常かというと、
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100円台 → 300円超え
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約3倍
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上昇率で見ると200%前後
単なる値上げではなく、
価格帯そのものが完全に変わったと言っていいレベルです。
しかも問題なのは、
「高いけど一時的」という雰囲気が、すでに消えつつあることです。
なぜここまで高くなったのか
① 飼料価格の高止まり
卵の価格を左右する最大要因は、実はエサ代です。
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トウモロコシ
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大豆かす
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輸入穀物
これらの価格は、円安・世界的な需要増・物流コスト上昇の影響を受け、
以前の水準に戻っていません。
「円高になれば下がる」という単純な話でもなく、
生産コストの構造自体が変わってしまったというのが現実です。
② 鳥インフルエンザの長期化
追い打ちをかけたのが、
毎年のように発生する鳥インフルエンザです。
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感染が確認されると大量殺処分
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生産回復まで数か月以上
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その間、供給不足が続く
2023年の「エッグショック」以降、
業界全体が“常に警戒状態”に置かれています。
③ 「安売りの象徴」だったことの反動
卵は長年、
「利益が出なくても客寄せで安くする商品」でした。
しかし今は、
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利益ゼロでは維持できない
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値下げすれば赤字
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安売りに戻れない
という状況に変わっています。
SNSにあふれる“ため息”
卵売り場の変化は、SNSでも強く意識されています。
「卵が300円超えって、普通にショックなんだけど」
「卵かけご飯が贅沢に感じる日が来るとは」
「特売で198円でも『安い!』と思ってしまう自分が怖い」
「もう“とりあえず卵買っとく”ができない」
注目すべきは、
怒りよりも“諦め”や“戸惑い”が多いことです。
これは一時的な高騰ではなく、
「もう元には戻らないのでは」という空気が広がっている証拠とも言えます。
卵はなぜ「日常の主役」だったのか
卵は、他の食品と比べて特別な存在でした。
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安い
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栄養価が高い
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調理が簡単
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朝・昼・夜すべてに使える
物価が上がっても、
「卵さえあればなんとかなる」という安心感があったのです。
だからこそ、
その卵が気軽に買えなくなった今、
生活全体が締め付けられる感覚が生まれています。
「308円」は高すぎるのか?
冷静に考えれば、
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10個で308円
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1個あたり約31円
決して“超高級食材”ではありません。
しかし、問題は記憶とのギャップです。
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昔:1個10円台
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今:1個30円台
この差は、数字以上に心理的負担が大きいのです。
値下がりは期待できるのか
現時点では、
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飼料価格:下がる見通し不透明
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鳥インフル:完全収束の兆しなし
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円安:長期化傾向
という状況です。
業界関係者の間でも、
「100円台に戻ることは考えにくい」という見方が主流になっています。
私たちの食卓はどう変わるのか
すでに、生活の中では小さな変化が起きています。
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卵料理の回数を減らす
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安い日を狙ってまとめ買い
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代替食品を探す
卵が「常備品」から
“考えて買う食品”へと格上げされたとも言えるでしょう。
まとめ:卵価格は“物価高の象徴”になった
卵は単なる食品ではありません。
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日常
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安心
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生活の基準
その象徴だった存在が、
今は308円超えという数字で、
私たちに現実を突きつけています。
「昔は100円台だったのに」
この言葉が自然に出てくる限り、
卵の値上がりは、単なる価格変動では終わらないのかもしれません。

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